ロンドン為替見通し=ドル円先導の相場は継続か、BOE総裁の議会証言に注目

 本日のロンドン為替市場でも、約24年ぶりのドル高・円安を更新し続けるドル円が他通貨ペアを先導することになりそうだ。米・金融引き締めが長期化するとの思惑が高まる一方で、日銀は超緩和姿勢を変える雰囲気は微塵も見せず、日米金利差の拡大を意識した動きは続きそう。ただし昨日から本日にかけて大幅に上昇した後だけに、NY時間には複数の米連邦準備理事会(FRB)高官の講演も控える中、ある程度の揺り戻しはあってもおかしくないか。

 明日に欧州中央銀行(ECB)理事会の政策発表を控え、ユーロドル単体ではやや動きづらそう。ユーロ動向の材料とされていた天然ガス相場については、ノルドストリーム稼働再開の無期限停止を巡るパニック的な買いは一服しており、様子見ムードが広がりつつある。ただし、冬に向けてエネルギー供給ひっ迫への警戒感は根強いままだ。

 気になるところでは、欧州エネルギー市場のデリバティブ取引で1兆5000億ユーロの追加証拠金が発生するとの見通し。複数のメディアが報じたこところによると、欧州の電力会社のヘッジ取引がエネルギー価格高騰で担保不足に陥っているという。一部試算では、それでも保守的な見積もりだとされた。今後の関連報道には注意しておきたい。

 本日ロンドン午前には、ベイリー英中銀(BOE)総裁が議会で証言する予定。足もとで10%台まで加速したインフレへの対策を問われることになるだろう。新たに英首相に就任したトラス氏にとっても物価抑制は急務であり、中銀に対し引き締め強化への圧力が強まりそうだ。

 ただ、トラス首相は財政拡大での家計支援も表明しており、インフレ下で取るべき「財政引き締め」とは真逆の対応を取ろうとしている。新政権のもとで英経済の先行き不透明感が深まるようであれば、ポンドの買いづらさが続いてしまうかもしれない。

 想定レンジ上限
・ユーロドルやポンドドルの目先の上値めどは昨日ロンドンフィキシング時の戻り高値0.9929ドルと1.1551ドル。超えると昨日高値0.9986ドルと1.1609ドルが次の目標値。

想定レンジ下限
・ユーロドルは2002年10月末の下押し水準となる0.9810ドル前後、ポンドドルは2020年3月安値1.1412ドル。


(小針)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。