ニューヨーク外国為替市場概況・8日 ドル円、4日続伸

 8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続伸。終値は144.11円と前営業日NY終値(143.74円)と比べて37銭程度のドル高水準だった。財務省・日銀・金融庁の3者会合後に神田財務官が「明らかに過度な変動だ。ファンダメンタルズだけでは正当化できない。あらゆる措置を排除せず、為替市場において必要な対応を取る準備がある」と述べ、円安を強くけん制すると円買い・ドル売りが先行。米10年債利回りが一時3.19%台まで低下したことも相場の重しとなり、20時30分過ぎに一時143.32円と日通し安値を更新した。
 ただ、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が金融政策に関するオンライン討論会で「FRBはインフレが低下するまで行動を維持する必要」「歴史は金融緩和への早すぎる転換を強く戒めている」などと述べ、インフレ抑制のため強く行動することを改めて表明すると、144.44円付近まで持ち直した。もっとも、そのあとは新規材料難から144.00円を挟んだ狭いレンジ取引に終始した。

 ユーロドルは小反落。終値は0.9997ドルと前営業日NY終値(1.0006ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。欧州中央銀行(ECB)はこの日開いた定例理事会で、0.75%の大幅利上げに踏み切り、成長見通し悪化の中でもインフレ抑制を優先し、今後数回の追加利上げを実施する方針を表明した。欧州金利の上昇とともにユーロ買いが強まると、一時1.0029ドルと日通し高値を更新した。
 ただ、ラガルドECB総裁が理事会後の会見で「今後数回の理事会で一段の利上げを予想する。おそらく今回を含めて2回より多く5回より少ない」と述べた一方、「次回の利上げは0.75%である必要はない。0.75%は標準ではない」と発言すると、大幅利上げが続くとの観測がやや後退しユーロ売りが出た。22時0分前には一時0.9931ドルと日通し安値を更新した。
 もっとも、ECB当局者の話として「10月理事会での0.75%利上げを排除しない」と伝わると、1.0000ドル付近まで下げ渋った。

 ユーロ円は5日続伸。終値は144.08円と前営業日NY終値(143.85円)と比べて23銭程度のユーロ高水準。ECBが大幅利上げに踏み切ったことを受けて一時144.29円付近まで上げたものの、アジア時間に付けた2015年1月以来の高値144.32円がレジスタンスとして意識されると失速。ラガルドECB総裁の発言も相場の重しとなり、一時143.18円と日通し安値を付けた。
 ただ、「来月の理事会で0.75%の利上げが実施される可能性を排除しない」との報道が伝わると、144.10円付近まで強含んだ。

本日の参考レンジ
ドル円:143.32円 - 144.55円
ユーロドル:0.9931ドル - 1.0029ドル
ユーロ円:143.18円 - 144.32円

(中村)
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