欧州マーケットダイジェスト・9日 株高・金利低下・円安一服

(9日終値:10日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.69円(9日15時時点比▲0.26円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=143.31円(▲0.60円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0043ドル(▲0.0024ドル)
FTSE100種総合株価指数:7351.07(前営業日比△89.01)
ドイツ株式指数(DAX):13088.21(△183.89)
10年物英国債利回り:3.095%(▲0.052%)
10年物独国債利回り:1.698%(▲0.019%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
8月ノルウェー消費者物価指数(CPI)
前月比                ▲0.2%      1.3%
前年比                6.5%       6.8%
7月仏鉱工業生産
前月比                ▲1.6%     1.2%・改

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は下落。黒田日銀総裁が岸田首相との会談後、「急激な為替の変動は企業の経営方針を不安定にするので好ましくない」「1日に為替が2円も3円も動くのは急激な変化」と述べ、円安を強くけん制したことを材料に円買い・ドル売りが先行した。米10年債利回りが一時3.24%台まで低下したことも相場の重しとなり、20時前に一時141.51円と日通し安値を更新した。
 市場では「前日の財務省・日銀・金融庁の3者会合に続き、本日も黒田日銀総裁や鈴木財務相などから円安けん制発言が相次いだため、本邦通貨当局による円安対応策への警戒感が高まりつつある」との声が聞かれた。
 ただ、売りが一巡すると142.82円付近まで持ち直した。積極的な金融引き締め政策が長期化するとの観測が強まる米連邦準備理事会(FRB)と、大規模な金融緩和策を維持する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、円売り・ドル買いが出やすい地合いに変わりはない。
 なお、ブラード米セントルイス連銀総裁は「2022年末までに3.75-4%の金利が望ましい」「0.75%の利上げに大きく傾いている」と述べたほか、ウォラーFRB理事は「9月FOMCでは再度の大幅利上げを支持する」などと発言。また、ジョージ米カンザスシティ連銀総裁は「強い経済はFRBに利上げの余地を与える」「FRBには利上げを実行する余地がある」などと語った。

・ユーロドルは伸び悩み。欧州の長期金利が上昇したタイミングでユーロ買いが強まると、前日の高値1.0029ドルを上抜けて一時1.0113ドルまで上値を伸ばしたが、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。ユーロ圏経済の減速懸念が根強い中、ユーロの戻りを売りたい向きは多く一時1.0032ドル付近まで下押しした。欧州金利が低下に転じたことも相場の重し。
 なお、カジミール・スロバキア中銀総裁は「ユーロ圏のインフレは許容できないほど高い」と述べたほか、クノット・オランダ中銀総裁は「0.75%は強力なシグナルだが更にステップが必要」などと発言。また、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は「インフレ率の上昇が主要な懸念」「ECBはインフレ率を2%に戻すことを決意し、団結している」などと述べ、タカ派スタンスを改めて示した。

・ユーロ円は上げ幅を縮めた。アジア市場では一時144.72円と2014年12月以来の高値を付けたものの、政府・日銀による円安けん制発言が相次ぐと一転売りが優勢となった。20時前には一時142.64円と日通し安値を更新した。売り一巡後は143.00円を挟んだ一進一退の動きに終始した。

・ロンドン株式相場は続伸。前日の米国株やアジア株が上昇した流れを引き継いで買いが優勢となった。時間外の米株価指数先物の上昇も相場の支援材料。欧米の長期金利が低下したことも投資家心理の改善につながった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株の上昇が目立ったほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株に買いが入った。

・フランクフルト株式相場は大幅反発。前日の米国株やアジア株が上昇した流れを引き継いで買いが先行。時間外の米株価指数先物の上昇も相場の支援材料となった。欧米の長期金利の動きが落ち着いていることも投資家心理の改善につながった。個別ではハローフレッシュ(4.51%高)やフレゼニウス(3.92%高)、ドイツテレコム(3.86%高)などの上昇が目立ち、ポルシェ(1.27%安)などを除く37銘柄が上昇した。

・欧州債券相場は上昇。足もとで相場下落が続いたあとだけに、週末を控えたポジション調整目的の買いが入った。

(中村)
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