ニューヨーク外国為替市場概況・9日 ドル円、5日ぶり反落

 9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は5営業日ぶりに反落。終値は142.47円と前営業日NY終値(144.11円)と比べて1円64銭程度のドル安水準だった。前日の財務省・日銀・金融庁の3者会合に続き、本日も黒田日銀総裁や鈴木財務相などから円安を強くけん制する発言が相次いだため、アジアや欧州市場では円買い・ドル売りが優勢となった。20時前に一時141.51円と日通し安値を更新した。
 ただ、積極的な金融引き締め政策が長期化するとの観測が強まる米連邦準備理事会(FRB)と、大規模な金融緩和策を維持する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、円売り・ドル買いが出やすい地合いに変わりはなく、NY市場に入ると買い戻しが進んだ。21時30分前には142.82円付近まで持ち直した。NY中盤以降は週末とあって142円台半ばでのもみ合いに終始した。
 なお、ブラード米セントルイス連銀総裁は「今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げ実施に賛成することに傾いている」と述べたほか、ウォラーFRB理事は「今月のFOMCでは再度の大幅利上げを支持する」と述べ、0.75%利上げを支持することを示唆した。
 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、20-21日のFOMCでは通常の3倍にあたる0.75%の利上げ確率が約90%まで上昇した。

 ユーロドルは反発。終値は1.0042ドルと前営業日NY終値(0.9997ドル)と比べて0.0045ドル程度のユーロ高水準だった。欧州市場序盤に一時1.0113ドルと日通し高値を付けたものの、買い戻しはあくまでポジション調整の域を出ず長続きしなかった。ユーロ圏経済の減速懸念が根強い中、ユーロの戻りを売りたい向きは多く、0時30分過ぎには1.0032ドル付近まで下押しした。
 なお、NY時間には「10月の欧州中央銀行(ECB)理事会では0.75%ではなく0.50%の利上げの可能性が高い」とのリポートや、「ECBは10月初旬にバランスシートの縮小に関する議論を開始することに合意した」とのFT報道が伝わった。

 ユーロ円は6日ぶりに反落。終値は143.15円と前営業日NY終値(144.08円)と比べて93銭程度のユーロ安水準。アジア時間に一時144.72円と2014年12月以来の高値を付けたものの、政府・日銀による円安けん制発言が相次ぐと一転売りが優勢に。20時前には一時142.64円と日通し安値を更新した。売り一巡後は143.44円付近まで下げ渋ったものの、NY中盤以降は143円台前半で値動きが鈍った。総じてドル円と似た動き。

本日の参考レンジ
ドル円:141.51円 - 144.12円
ユーロドル:0.9995ドル - 1.0113ドル
ユーロ円:142.64円 - 144.72円

(中村)
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