東京為替見通し=明朝の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明への思惑で底堅い展開か

 20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.6004%まで上昇したことで143.92円まで上昇した。ユーロドルは0.9955ドルまで下落した。ユーロ円は、欧米株価の下落に伴う円買い・ユーロ売りで143.02円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝3時に発表されるFOMC声明への思惑から底堅い展開が予想される。

 FOMCでは、インフレ抑制への強硬姿勢を保持して0.75%の第5次利上げを行い、次回11月2日にも第6次利上げを行う意向が示され、資産保有圧縮(QT)は今月から増額された月950憶ドルの規模で続ける政策決定が見込まれている。今回の「ドットチャート(FF金利の予想分布図)」では2025年までの見通しが示されることで、注目ポイントは、高金利政策がいつまで維持されるかとなる。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、0.75%の利上げ確率は82%、1.00%の利上げ確率は18%となっている。また、FF金利先物では、現時点で 2.50%であるFF金利誘導目標の上限が、来年前半に 4.25-50%程度まで引き上げられること、その後は利下げに転じることを織り込んでいる。すなわち、米国2年債と10年債の長短金利逆転(逆イールド)が示唆しているように、2年債の4.0%前後が示唆するターミナルレート(利上げの最終到達点)は4.00-25%程度、10年債の3.6%前後は、その後の利下げへの転換を見込んでいる。しかし、パウエルFRB議長は、早期の利下げ期待を牽制してきており、「政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している」という、フォワードガイダンスが変更される可能性にも注目しておきたい。

 米連邦準備理事会(FRB)による高金利政策の長期化、そしてリセッション(景気後退)に陥る可能性が高まることは、2024年11月の米国大統領選挙での政権与党である民主党候補の敗北の可能性を高めることになる。

 ドル円は、FOMCで0.75%の利上げが行われ、ドットチャートで2023年から2025年まで高金利が維持されたならば、145円のノックアウトトリガーへの3度目の買い仕掛けの可能性が高まり、2度成功してきた防戦売りと本邦通貨当局による円安牽制措置との攻防が予想される。
 ドル円のテクニカル分析では、ダブル・トップ(144.99円・144.96円)を形成しつつあるが、3度目の買い仕掛けでトリプル・トップになるのか、それとも上抜けて1998年8月の高値を目指す上昇トレンド再開となるのか、見極めることになる。


(山下)
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