欧州マーケットダイジェスト・22日 株安・金利上昇・円乱高下

(22日終値:23日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=142.29円(22日15時時点比▲2.63円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=140.07円(▲2.32円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9843ドル(△0.0019ドル)
FTSE100種総合株価指数:7159.52(前営業日比▲78.12)
ドイツ株式指数(DAX):12531.63(▲235.52)
10年物英国債利回り:3.495%(△0.184%)
10年物独国債利回り:1.965%(△0.072%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ドル円は乱高下。日銀が今日まで開いた金融政策決定会合で、大規模金融緩和の継続を決めると欧州市場に入っても円売り・ドル買いが進んだ。黒田東彦日銀総裁が定例記者会見で「必要であれば躊躇なく追加的な緩和措置を講じる」と述べ、「当面は金利を引き上げない」と明言すると円売り・ドル買いが活発化。16時過ぎに一時145.90円と1998年8月以来約24年ぶりの高値を更新した。
 ただ、そのあとは政府・日銀による円買い介入を受けて急落した。鈴木財務相と神田財務官が会見で「投機による過度な変動は決して見過ごせない」と述べ、「引き続き過度な変動に対しては必要な対応をとる」と表明したことも相場の重しとなり、一時140.36円まで大きく値を下げた。
 もっとも、NYの取引時間帯に入ると下げ渋った。米10年債利回りが3.7118%前後と2011年2月以来の高水準を更新すると円売り・ドル買いがじわりと強まり、142.44円付近まで持ち直した。日米金融政策の方向性の違いから押し目買い意欲も旺盛だ。

・ユーロドルは頭が重かった。ドル円の急落をきっかけにドル売りが先行すると一時0.9907ドルと日通し高値を付けたものの、戻りは鈍かった。その後しばらくは0.98ドル台後半でのもみ合いが続いていたが、NY市場に入ると米金利の上昇を手掛かりにユーロ売り・ドル買いが進んだ。9月ユーロ圏消費者信頼感指数速報値が▲28.8と予想の▲25.8を下回り過去最低を記録したことも相場の重しとなり、一時0.9812ドル付近まで下押しした。

・ユーロ円はドル円と似た動き。日本時間夕刻に一時143.70円と本日高値を付けたものの、政府・日銀による円買い介入をきっかけに急落。22時前には一時138.71円と本日安値を付けた。売り一巡後は140.24円付近まで下げ渋った。

・トルコリラは急落し、対ドルで一時18.4026リラと史上最安値を更新した。トルコ中銀はこの日、金融政策決定会合を開き、政策金利を現行の13.00%から12.00%に引き下げることを決めたと発表。市場では金利を据え置くとの予想が多く、予想外の利下げを受けてリラを売る動きが膨らんだ。
 ただ、NYの取引時間帯に入るとひとまずリラを買い戻す動きが優勢となり、18.32リラ付近まで下げ渋った。

・スイスフラン円は日本時間夕刻に付けた151.49円の本日高値から8円近く暴落し、NY序盤には143.54円まで下げた。スイス国立銀行(SNB)はこの日、政策金利を0.75%引き上げることを決めたと発表。声明ではインフレ抑制のために今後一段の引き締めの可能性を示唆し、必要に応じて為替市場で行動する意向を表明した。市場予想通りの結果にスイスフラン売りで反応したあとは、政府・日銀による円買い介入の影響を受けて急速に円高が進んだ。

・ロンドン株式相場は反落。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて米株式相場が大幅に下落すると、英株にもリスクを回避する目的の売りが波及した。英中銀(BOE)が深刻な物価高を受けて、2カ月連続で政策金利を0.50%引き上げたことも相場の重し。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株の下げが目立ったほか、HSBCやバークレイズなど金融株に売りが出た。

・フランクフルト株式相場は大幅に反落。主要中銀の大幅な金融引き締めが世界景気を冷やすとの懸念から売りが優勢となった。本日の米国株や欧州各国の株式相場が下落したことも相場の重し。個別ではザルトリウス(6.50%安)やザランド(6.37%安)、プーマ(5.05%安)などの下げが目立ち、ドイツ銀行(2.43%高)などを除く37銘柄が下落した。

・欧州債券相場は下落。主要中銀の金融引き締めが継続するとの観測が独国債の売りを誘った。

(中村)
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