東京為替見通し=ドル円は上値が重い展開か、RBNZのハト派サプライズに要警戒

 4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、8月雇用動態調査(JOLTS)での求人件数の減少や米10年債利回りの低下を受けて、144.93円から143.90円まで下落した。ユーロドルは米利上げ減速観測が高まったことで0.9999ドルまで上昇した。ユーロ円はダウ平均の大幅上昇を受けて144.08円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが3.6%台で推移していることで、上値が重い展開が予想される。

 最近のドル円の高値は、10月4日が144.93円、3日は145.30円、9月30日は144.81円までで、145円台での本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が上値を抑える展開が続いている。本日は、ドル買いの原動力ともいえる米10年債利回りがやや低下基調にあることや週末の米9月雇用統計への警戒感が高まっていることで、上値が重い展開が予想される。

 日銀が昨日発表した9月のマネタリーベースの平均残高は前年比3.3%減の634兆1934億円となった。前年比でマイナスとなるのは2012年4月以来で、減少幅は2007年6月以来の大きさとなった。

 2013年4月4日、黒田日銀総裁は、デフレからの脱却を目指して、「物価上昇率2%」をターゲットに「異次元の金融緩和」という黒田バズーカ砲第1弾を発射。マネタリーベースの残高は2012年末が138兆円だったが、2013年末が200兆円、2014年末が270兆円と示唆されていた。しかし、インフレ目標2%は、マネタリーベースを2倍にしても2年間では達成できず、10年目の2022年4月に前年比+2.1%に乗せることで達成できた。マネタリーベースは、過去最大規模の687兆4736億円で約5倍となっていた。

 マネタリーベースが減少に転じたということは、黒田日銀総裁の2023年4月の任期満了に向けて、金融政策正常化がステルス的に始まったのかもしれないため、今後の注目ポイントになる。

 10時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は、8会合連続での利上げで、3.50%への引き上げが予想されている。

 前回の声明では、「物価の安定と持続可能な雇用の最大化を維持できるペースで金融引き締めを継続することが適切だと合意した」と表明。NZの4-6月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同期比+7.3%と32年ぶりの高水準となっている。中銀はインフレ率を政策目標の1-3%の範囲内に戻すために「金融引き締めを継続する必要がある」と表明していた。

 リスクシナリオは、昨日の豪準備銀行(RBA)理事会のように、予想の+0.5%利上げではなく、0.25%の利上げに留まったハト派サプライズの場合となる。そのRBA理事会の声明では、「インフレ達成と経済安定のバランスは不確実性に覆われている」と経済への懸念を示し、利上げの継続についても前回の「今後数カ月」から「今後一定期間」にハト派気味に変更していた。

(山下)
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