ロンドン為替見通し=ユーロやポンド、昨日売られた欧州債の動向に注目

 本日のロンドン為替市場は、昨日大きく売られた欧州債券を見定めながらの取引か。特に利回りが前営業日比で30ベーシスポイント(bp)近く上昇して終えた伊10年債の動向が注目される。また英国の財政悪化への懸念がくすぶるなかで、利回り4%台を再び回復して引けた英10年債にも目を向けておきたい。

 伊長期債の下落は、欧州中央銀行(ECB)保有の同債が過去2カ月間で減少していたことが要因とされている。ECBが導入した「ユーロ圏諸国の利回り格差抑制を目的とした債券購入スキーム」が発動されない、との思惑が高まったもよう。ポルトガル10年債利回りなども昨日は20bp上昇して終えており、債務国リスクへの警戒感が広まりつつあるか。

 もっとも、昨日0.98ドル前半まで下げたユーロドルは東京に入り0.99ドルを回復するなど、比較的落ち着いた動きではある。欧州債への売り再燃となればユーロも下値余地を探るのだろうが、逆に売り一服となれば、明日の9月米雇用統計に向けて持ち高調整が中心とした値動きとなりそうだ。

 なお日本時間20時30分には、先月8日に75bpの政策金利引き上げを決定したECB理事会の議事要旨が公表される。引き上げ幅は最終的に全会一致ではあったが、ラガルドECB総裁は異なる見解はあったとも述べており、マイノリティ意見にどのような内容が含まれているか目を通しておく必要はあるか。

 トラス英首相は昨日、与党・保守党の党大会において「減税は道徳的にも経済的にも正しい」とし、従来の計画の基本路線は維持するとの考えを示した。市場の混乱を招いたことには考慮し財政規律は破らないと首相は明言したものの、昨日の英長期債は下落した。

 アジア時間でポンドドルは、昨日大きく売られた反動や強いオセアニア通貨にもつれ高となっている。ただ、英債への売り圧力が更に強まるようならば、ポンドの地合いもまた弱くなりそうだ。

想定レンジ上限
・ユーロドルは4日高値0.9999ドル、ポンドドルは昨日ロンドン前半の戻り高値圏1.1430ドル台が目先の上値めど。

想定レンジ下限
・ユーロドルは昨日安値0.9835ドル、ポンドドルも昨日安値1.1227ドルが下値めど。


(小針)
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