週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、値動き抑制も底堅いか

◆ドル円、介入への警戒感がありながらも底堅く推移か
◆米CPIなど週後半にかけては米重要指標相次ぐ
◆ユーロドル、英長期金利が再び上昇すれば下値探りの展開も

予想レンジ
ドル円   143.50-147.50円
ユーロドル 0.9300-1.0000ドル 

10月10日週の展望
 ドル円は、引き続き政府・日銀による円買い介入への警戒感から値動きは抑制されることが想定されるが、日米金利差拡大による円売り・ドル買い意欲が根強いなかで、下値の堅い動きとなりそうだ。
 
 先月22日の円買い介入以降、ドル円の動きは鈍く、先週は値幅が約1.6円、今週は今のところ1.8円程度と狭い。日本政府からすれば狙い通りの安定さを取り戻したといえるが、ドル円をトレードする上では「旨味がなくなった」と揶揄する声も多く、取引が意図的に控えられているのが現状だろう。ただ、水準としては介入前のレベルまでほぼ戻ってきており、下値が明らかに限られていることからも、介入への警戒感がありながら押し目買いの勢いが衰えていないことが印象的だ。対ポンドを中心としたドル買いが再開すれば、ドル円上昇の起爆剤となる可能性もあるため、ポンドドルの動向などを睨む展開となりそうだ。

 来週は、注目の9月米消費者物価指数(CPI)をはじめ、9月米小売売上高など週後半にかけて米重要指標が目白押し。今週は、米経済指標を受けて、対円以外ではドルが大きく動いた。来週も、特にCPIの結果次第ではドルが乱高下する可能性があることには注意しておきたい。

 ユーロドルは、引き続きポンド相場につれる展開が想定される。英中銀(BOE)による一時的な国債買入れは14日までとなっており、今のところ、市場では「期限の延長はあっても減額するのでは」との憶測も出ている。英長期金利が再び上昇すればポンド売りが再開し、ユーロも下値を探る動きとなることにもなりそうだ。

 なお、金利について、英国債はもちろんだが、伊国債にも警戒が必要となっている。欧州中央銀行(ECB)保有の伊国債が過去2カ月間で減少していたことで債券売りが活発化。7月に導入したユーロ圏諸国の利回り格差抑制のために導入した新たな債券購入スキーム「伝達保護措置(TPI)」が機能していないのではとの思惑が広がっている。

10月3日週の回顧
 ドル円は、週明けに145.30円まで上昇したものの、上値では政府・日銀による円買い介入への警戒感が根強いなかで買いは続かなかった。9月米ISM製造業景気指数や8月雇用動態調査(JOLTS)など米経済指標が悪化し、米長期金利が低下すると5日には一時143.53円まで下落した。一方、押し目を狙う向きも多く、その後は全般ドル高が進んだ影響から145円台を回復している。

 ユーロドルは、経営不安でクレディスイス・グループの株価が急落したことをきっかけに欧州株が軟調に推移すると売りが先行。一時0.9753ドルまで下落した。ただ、その後は米経済指標の悪化を受けて米長期金利が低下するとショートカバーが優勢に。4日には一時0.9999ドルまで買い上げられた。一方、パリティの1.0000ドルを前に戻り売りが強まり再び0.9800ドルを割り込むなど荒い動きとなった。(了)
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