ロンドン為替見通し=英長期債の動向を追いながら、米雇用統計待ち

 本日のロンドン為替市場は、昨日も売り圧力が強まった英長期債の動向を追いながらポンドの動きを見定め、日本時間21時30分に発表される9月米雇用統計を待つことになりそうだ。

 6日の英国債相場は長期金利の指標となる10年物国債の利回りが、前営業日の終値比0.134%高い(価格は安い)4.169%で引けた。一時4.2%を超え上げ幅を広げる場面もあった。また英30年債利回りも4.40%に迫る勢いで上昇した。市場安定化のため英中銀が先月28日から実施している20年超国債の無制限買い入れについて、4-5日は購入なし、6日の購入額も少なかったことに反応したもよう。

 英中銀は一時買い入れについて、利回りに上限を設けることが目的ではないと述べている。導入のきっかけは年金基金の破城を防ぐこと。基金は保有している超長期債にレバレッジをかけて運用し、先月下旬の債券暴落で窮地に陥ったようだ。一部報道によれば、現在は現金確保のため、中銀の無制限購入が終わる14日を控えて急いで流動性資産の売却を進めているもよう。

 トラス英首相は50年ぶりの規模となる大型減税案の骨格を維持するとの見解を示しており、財源なき成長計画による財政悪化への警戒感は高まったまま。市場の混乱を引き起こした政権への不信感を拭うには、今月に発表が前倒しとなった中期財政計画でかなりドラスティックな内容を盛り込まないといけないだろう。

 なおロシアのウクライナ侵攻巡る地政学リスクの高まりにも注意は向けておく必要がある。バイデン米大統領は6日、ロシアによる核戦争の脅威が1962年のキューバ危機以来、最も高い水準にあるとの認識を示した。

想定レンジ上限
・ポンドドルは昨日NY序盤の戻り高値1.1280ドル台、ユーロドルは21日移動平均線0.9872ドル。

想定レンジ下限
・ポンドドルは9月30日安値1.1025ドル、ユーロドルも同日安値0.9735ドル。


(小針)
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