週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、一段の介入警戒感も底堅さ維持

◆ドル円、介入への警戒感が一段と高まるも押し目買いスタンスは継続か
◆米住宅ローン金利上昇で住宅指標に注目
◆ユーロドル、引き続きポンドに振り回される展開か

予想レンジ
ドル円   145.00-150.00円
ユーロドル 0.9500-1.0000ドル 

10月17日週の展望
 ドル円は、1990年8月以来、約32年ぶりの高値を付けたことで政府・日銀による円買い介入への警戒感が一段と強まるなかでも、日米金利差に着目した円売り・ドル買いは旺盛か。

 13日に発表された9月米消費者物価指数(CPI)は前年比で8.2%と約40年半ぶりの大きさとなった6月の9.1%からは3カ月連続で鈍化したものの、変動の激しいエネルギーと食品を除く指数の上昇率が6.6%と1982年8月以来、40年1カ月ぶりの伸び率となった。この結果を受けて11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での1.00%の大幅利上げ予想も浮上するなど、一段の米金融引き締め期待が膨らんでいる。一方、黒田日銀総裁はワシントンでの国際金融協会(IIF)の年次会合で「2%の物価目標を持続的、安定的に達成するまで金融緩和を継続する必要がある」と改めて表明するなど、日米金融政策の方向性の違いはさらに明白化している。介入に対する一層の警戒感を持ちつつも、来週以降も円安・ドル高のトレンドは変わらないだろう。

 来週も9月鉱工業生産をはじめ、米経済指標の発表が目白押しとなっているが、注目は住宅指標。13日にフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)が発表した住宅ローン金利が2002年4月以来の高水準を記録し、住宅需要の急速な落ち込みが見込まれている。専門家の間では「今後数カ月の住宅指標には警戒」との声も聞かれるなかで、18日の10月NARB住宅市場指数や19日の9月住宅着工件数、20日の9月中古住宅販売件数には注意が必要だろう。

 ユーロドルは、引き続きポンド相場次第の展開が想定される。英中銀(BOE)による一時的な超長期国債買い入れは従来通り14日に終了する予定となっているが、トラス政権が超大型減税計画の変更に踏み切るとの期待感が高まるなかで英債券やポンドには買い戻しの動きが強まっている。来週以降もこの流れが続けばユーロドルは戻りを試す展開も想定されるが、英政府の方針変更については不透明感も高いため、今週同様、ポンドに振り回されることから避けられそうもない。

 また、欧州の天然ガス価格高騰も引き続きユーロにとっては不確実要因となっている。欧州理事会で議論が進められているガス価格上限の設定については、フランスなど過半数を超える加盟国は供給元にかかわらずガス全体を対象に上限設定を支持しているが、ドイツなどはロシア産天然ガスに限定して設定すべきと主張しており、折り合いがつかない状況。20-21日の欧州理事会に向けて協議が進むかどうかが焦点となる。

10月10日週の回顧
 ドル円は、週前半にかけて145円台でのもみ合いが続いていたが、その後は買いが優勢に。9月米卸売物価指数(PPI)や9月米CPIがいずれも市場予想を上回ったことで買いが加速し、13日には一時147.67円と1990年8月以来の高値を付けた。
 ユーロドルは、良好な米CPIを受けて0.9633ドルまで下落したが、下落していた米国株が一転上昇するとリスクオンの動きとなり0.9808ドルまで買い上げられた。
(執筆:10月14日、11:00)
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