欧州マーケットダイジェスト・20日 株高・金利上昇・ポンド持ち直し

(20日終値:21日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=150.05円(20日15時時点比△0.11円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=146.82円(△0.13円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9785ドル(△0.0002ドル)
FTSE100種総合株価指数:6943.91(前営業日比△18.92)
ドイツ株式指数(DAX):12767.41(△26.00)
10年物英国債利回り:3.913%(△0.035%)
10年物独国債利回り:2.404%(△0.028%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>   <前回発表値>
9月独生産者物価指数(PPI)
前月比                2.3%       7.9%
10月仏企業景況感指数         102        102
8月ユーロ圏経常収支(季調済) 263億ユーロの赤字 200億ユーロの赤字・改

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ポンドドルは持ち直した。英政治の先行き不透明感を背景にポンド売り・ドル買いが先行。高インフレの長期化や英中銀(BOE)の大幅利上げが景気後退を深刻化させるとの懸念も相場の重しとなり、一時1.1171ドルと日通し安値を付けた。
 ただ、大規模減税策をきっかけに市場を混乱させたトラス英首相が辞任を表明すると、ポンドを買い戻す動きが優勢に。欧米株高に伴うリスク・オンのドル売りも出て、一時1.1336ドルまで上値を伸ばした。
 なお、トラス氏の辞任は首相就任からわずか44日で、在任期間は歴代最短となる。

・ドル円は神経質な動き。米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げが続くとの見方が強まる一方、日銀は大規模な金融緩和策を維持しており、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いがこの日も継続。日本時間夕刻に一時150.08円まで上昇した。
 ただ、心理的節目である150円台に乗せた達成感から利食い売りなどが出ると、上値が重くなった。政府・日銀による為替介入への警戒感も根強く、24時前に一時149.56円と日通し安値を更新した。
 もっとも、米10年債利回りが4.21%台まで上昇し、2008年7月以来の高水準を記録するとドルを買い戻す動きが優勢に。3時過ぎには一時150.21円と1990年8月以来32年ぶりの高値を更新した。
 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が「年末までに金利は4%を大きく上回る」と述べ、クック米連邦準備理事会(FRB)理事が「インフレは依然として容認できないほど高い」と発言したこともドルの支援材料。

・ユーロドルは頭が重かった。時間外の米10年債利回りが4.09%台に低下したことを受けて、ユーロ買い・ドル売りが先行。ポンドドルの上昇につれた買いも入り、一時0.9845ドルと日通し高値を更新した。ダウ平均が一時400ドル近く上昇するなど、米国株相場が上昇するとリスク・オンのドル売りも出た。
 ただ、米国株相場が下げに転じるとドル売りの勢いは後退した。米10年債利回りが4.21%台まで上昇したことも相場の重しとなり、0.97ドル台後半まで押し戻された。

・ユーロ円は伸び悩み。ユーロドルの上昇や米国株高を手掛かりに円売り・ユーロ買いが先行。24時前に一時147.30円と2014年12月以来の高値を更新した。ただ、ユーロドルが上げ幅を縮め、米国株が失速するとユーロ円も上値が重くなった。

・ロンドン株式相場は反発。英政治の不透明感を嫌気した売りが先行したものの、大規模減税策をきっかけに市場を混乱させたトラス英首相が辞任を表明すると買い戻しが優勢となった。セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株の上昇が目立ったほか、BPやシェルなどエネルギー株に買いが集まった。

・フランクフルト株式相場は反発。9月独生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことをきっかけに、欧州中央銀行(ECB)による金融引き締め強化への警戒感が高まり売りが先行した。ただ、米国株が大幅に反発すると独株にも買いが波及したため引けにかけて持ち直した。個別ではシーメンス・ヘルシニアーズ(4.10%高)やザルトリウス(3.71%高)、ボノビア(3.05%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は下落。9月独PPIの上振れで、ECBの大幅利上げ観測が高まると独国債に売りが出た。

(中村)
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