週間為替展望(ドル/ユーロ)-FOMCの利上げ幅に注目

◆ドル円、中間選挙前のFOMCでの利上げ幅に注目
◆米国10月のISM製造業・非製造業景気指数や雇用統計に警戒
◆ユーロドル、ユーロ圏7-9月域内総生産(GDP)速報値や10月インフレ率に注目

予想レンジ
ドル円   144.00-149.00円
ユーロドル 0.9600-1.0100ドル 

10月31日週の展望
 ドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に警戒しながら、11月1-2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ幅と12月FOMCでの利上げ幅の協議に注目する展開となる。

 21日に米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は「11月のFOMCでは0.75%の利上げを決め、12月に0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大きい。一部当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げ減速や来年早々の利上げ停止を求めている」と報じた。同記者は、3月の量的金融緩和の終了と利上げ開始、その後3会合の利上げ幅0.75%を的確に予想してきており、市場の信頼感は高い。さらに直近では米国経済指標の悪化傾向が続いており、12月FOMCでの利上げ幅の協議は、0.75%か0.50%ではなく、0.50%か0.25%になる可能性も指摘され始めた。フェデラルファンド(FF)金利先物取引市場では、2023年3月までに上限が4.75-5.00%となり、12月までには4.25-4.50%に低下するとの見方が織り込まれている。

 また米議会上院の銀行・住宅・都市問題委員会は、パウエルFRB議長に対してインフレ(物価上昇)を抑え込む大幅利上げの影響に懸念を示し、「完全雇用を確保する責任を見失うことがあってはならない」と訴えた。バイデン米大統領の支持率が39%台へ低下し、11月8日の中間選挙で上下両院を共和党に奪われる可能性が高まりつつあるなか、直前のFOMCの利上げ幅に注目したい。

 経済指標では、米10月のISM製造業・非製造業景気指数や雇用統計が公表される。「米国経済がリセッション(景気後退)に陥るのではないか」との警戒感が高まりつつあるなか、ネガティブサプライズに警戒が必要だ。

 ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会声明を受けて、中銀預金金利のターミナルレート(利上げの最終到達点)の見通しが、3.25%から2.75%に低下したことで、上値が重い展開が予想される。ユーロ圏がインフレ高進と景気減速が併存する「スタグフレーションに陥るのではないか」との警戒感が高まる中、ユーロ圏7-9月域内総生産(GDP)速報値や10月の消費者物価指数に注目しておきたい。また、ロシアによるウクライナへの大規模攻撃や、「汚い爆弾」使用の可能性が警戒されており、関連するヘッドラインには引き続き注意。

10月24日週の回顧
 ドル円は、本邦通貨当局が21日のニューヨーク市場に続いて24日の東京市場でもドル売り・円買い介入を実施したほか、12月FOMCでの利上げペースの鈍化観測などを受けて、149.71円から145.11円まで下落したものの、146.93円まで反発した。米10年債利回りは、4.28%台から3.89%台まで低下した。ユーロドルは、米10年債利回りの低下を背景に0.9807ドルから1.0094ドルまで上昇後、ECB理事会声明を受けて0.99ドル台まで反落した。中銀預金金利のターミナルレートの見通しは3.25%から2.75%に低下した。(了)
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