ロンドン為替見通し=ユーロドル、ECB高官の講演で12月の利上げ幅を見極める展開か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、複数の欧州中央銀行(ECB)高官の講演から、ターミナルレート(利上げの最終到達点)の水準を見極めていくことになる。

 ユーロ圏10月のインフレ率が前年比+10.7%まで上昇し、10月27日のECB理事会では、2回連続となる0.75%の利上げが実施され、中銀預金金利は2倍の1.5%まで引き上げられた。声明文からは「数回の会合にわたり」という文言が削除された。そして、12月会合では、危機時に購入した債券のポートフォリオ圧縮、量的金融引締政策(QT)の協議を開始すると言及した。
 しかし、ラガルドECB総裁が「政策引き締めのかなりの部分が終わった」と述べたことで、短期金融市場では、中銀預金金利のターミナルレートが3.25%付近から2.75%付近まで下方修正されている。

 17時30分から講演予定のタカ派のナーゲル独連銀総裁は、昨日「ECBが利上げの過程にある限り、一段の利上げを控えるべきではない」と述べており、同様のタカ派発言が予想される。
 18時15分から講演予定のタカ派のデギンドスECB副総裁は、ユーロ圏10-12月域内総生産(GDP)の落ち込みの可能性に警戒しながらも、「インフレを鎮静化させるために、あらゆる措置を講じる」との持論を強調すると予想される。
 18時30分から講演予定のラガルドECB総裁は、昨日「緩やかなリセッション(景気後退)」はあり得るが、それだけでは物価急上昇を抑えるには不十分だろう」と述べており、12月会合での利上げ幅への言及に注目したい。

 本日発表される仏・独・ユーロ圏の10月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は、製造業部門と同様に下方修正の幅に注目しておきたい。


想定レンジ上限
・ユーロドル:0.9912(一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:145.90円(一目均衡表・転換線)

想定レンジ下限
・ユーロドル:0.9633(10月13日の安値)
・ユーロ円:143.48円(10月14日の安値)


(山下)
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