東京為替見通し=ドル円、FRB高官のタカ派発言で底堅い展開か
17日のニューヨーク外国為替市場では、ブラード米セントルイス連銀総裁が「現行の政策金利は十分に制約的な水準を下回っている。少なくとも5%程度まで金利を引き上げる必要があり、より厳格な仮定では7%以上への利上げが推奨される」と発言したことで、ドル円は欧州序盤の安値138.88円から140.74円まで上昇した。ユーロドルは1.0305ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日のFRB高官のタカ派発言で底堅い展開が予想される。また、これからも複数のFRB高官の講演が予定されており、発言内容に要警戒か。
昨日、ブラード米セントルイス連銀総裁は、「インフレを鈍化させるため金融当局は政策金利を最低でも5.00-25%まで引き上げるべきだ」と述べた。
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は、「利上げ停止を主張するには、少なくともインフレ率の上昇が止まり、これ以上後手に回らないと確信する必要があるが、まだその段階には至っていない」と述べた。
日本時間10時5分からパウエルFRB議長、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁がイベントに参加する予定となっており、金融政策に関する発言に要警戒となる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、FRB高官のタカ派発言を受けて12月のFOMCでの0.50%利上げ確率は85.4%から80.6%へ低下、0.75%利上げ確率は14.6%から19.4%へ上昇した。
8時30分に発表される日本の10月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は、前年比+3.5%と予想されており、9月+3.0%からの上昇見込み。携帯電話の通信料引き下げ効果の剥落による上乗せが+0.4%程度あるらしい。
なお10月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2022年度のCPI(除く生鮮食品)見通しが+2.9%(7月は+2.3%)、23年度が+1.6%(7月は+1.4%)、24年度が+1.6%(7月は+1.3%)へ上方修正されている。
黒田日銀総裁は、賃金上昇を伴う持続的かつ安定的物価上昇が実現するまで、現状の量的金融緩和を継続する、と繰り返し述べており、昨日は「賃金上昇を伴う物価目標は時間がかかるとしても実現可能」と述べた。そして、来年度以降は2%を下回る水準になるとも予想しており、賃金上昇までには当分時間がかかることが示唆されている。
10月のコアCPIが+3.5%程度に上昇しても、日銀の金融緩和継続スタンスには変わりはないと思われる。
昨日発表された本邦10月貿易赤字は、この月としては過去最大の2兆1623億円の赤字となり、15カ月連続での貿易赤字を記録した。今年の1月から10月までの貿易赤字は、16兆4755億円と過去最大を記録。本邦通貨当局は9月と10月に9兆1881億円のドル売り・円買い介入で円安を抑えてきている。
今後もさらなるドル高・円安トレンドに歯止めをかけるには、これまでの差額分7兆2874億円にプラスして、11月や12月の貿易赤字を相殺する円買い介入を続けていく必要があるため、ステルス介入(覆面介入)には警戒しておきたい。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日のFRB高官のタカ派発言で底堅い展開が予想される。また、これからも複数のFRB高官の講演が予定されており、発言内容に要警戒か。
昨日、ブラード米セントルイス連銀総裁は、「インフレを鈍化させるため金融当局は政策金利を最低でも5.00-25%まで引き上げるべきだ」と述べた。
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は、「利上げ停止を主張するには、少なくともインフレ率の上昇が止まり、これ以上後手に回らないと確信する必要があるが、まだその段階には至っていない」と述べた。
日本時間10時5分からパウエルFRB議長、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁がイベントに参加する予定となっており、金融政策に関する発言に要警戒となる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、FRB高官のタカ派発言を受けて12月のFOMCでの0.50%利上げ確率は85.4%から80.6%へ低下、0.75%利上げ確率は14.6%から19.4%へ上昇した。
8時30分に発表される日本の10月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は、前年比+3.5%と予想されており、9月+3.0%からの上昇見込み。携帯電話の通信料引き下げ効果の剥落による上乗せが+0.4%程度あるらしい。
なお10月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、2022年度のCPI(除く生鮮食品)見通しが+2.9%(7月は+2.3%)、23年度が+1.6%(7月は+1.4%)、24年度が+1.6%(7月は+1.3%)へ上方修正されている。
黒田日銀総裁は、賃金上昇を伴う持続的かつ安定的物価上昇が実現するまで、現状の量的金融緩和を継続する、と繰り返し述べており、昨日は「賃金上昇を伴う物価目標は時間がかかるとしても実現可能」と述べた。そして、来年度以降は2%を下回る水準になるとも予想しており、賃金上昇までには当分時間がかかることが示唆されている。
10月のコアCPIが+3.5%程度に上昇しても、日銀の金融緩和継続スタンスには変わりはないと思われる。
昨日発表された本邦10月貿易赤字は、この月としては過去最大の2兆1623億円の赤字となり、15カ月連続での貿易赤字を記録した。今年の1月から10月までの貿易赤字は、16兆4755億円と過去最大を記録。本邦通貨当局は9月と10月に9兆1881億円のドル売り・円買い介入で円安を抑えてきている。
今後もさらなるドル高・円安トレンドに歯止めをかけるには、これまでの差額分7兆2874億円にプラスして、11月や12月の貿易赤字を相殺する円買い介入を続けていく必要があるため、ステルス介入(覆面介入)には警戒しておきたい。
(山下)