東京為替見通し=ドル円、FRBの利上げペース鈍化観測から軟調推移か

 26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが3.99%台まで低下したことを受け146.23円まで下落した。ユーロドルは米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りで1.0089ドルまで上昇した。カナダドルは、BOCが政策金利の引き上げ幅が0.50%と予想より小さかったことで、対米ドルで1.3651カナダドル、対円で107.36円まで売られる場面があった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感や12月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げペース減速懸念を受けた米長期金利の低下で軟調推移が予想される。

 先週21日、米WSJのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者が「11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.75%の利上げが決定される。しかしながら、12月に0.50%に利上げペースを落とすかどうかを議論する公算が大きい。」と報じた。同記者は、「一部の金融当局者は過度な景気悪化を警戒し、利上げ減速や来年早々の利上げ停止を求めている」と指摘している。

 ティミラオス記者は、3月FOMCでの量的金融緩和の終了と利上げ開始、6月、7月、9月の利上げ幅0.75%を的確に予想してきた。12月FOMCでの0.50%への利上げペース鈍化の予想が、米10年債利回りの低下とドル売りを誘発している。

 さらに、本邦通貨当局が「24時間、365日(神田財務官)」の覆面介入を継続する可能性が高まっていることも、ドル円の上値を抑える要因となっており、11月1-2日のFOMCの結果を見極めるまでは、ドル売りが継続するのかもしれない。

 なお、25日に公表された米世論調査では、バイデン米大統領の支持率は39%まで低下し、就任以来最低となった5・6月の36%に近づいている。バイデン米大統領の支持率低迷により、11月8日の中間選挙では、共和党が下院または上下両院の過半数議席を確保するとの見方が強まっている。共和党が上下両院のどちらかで過半数を獲得した場合、バイデン米政権の法案の成立が妨げられることで、景気回復の足かせとなる。

 25日には、米議会上院の銀行・住宅・都市問題委員会が、パウエルFRB議長に対して、インフレ(物価上昇)を抑え込む大幅利上げの影響に懸念を示し、「完全雇用を確保する責任を見失うことがあってはならない」と訴えた。

 先週の20日には、債券王の異名をとるガントラック米ダブルライン・キャピタル最高投資責任者(CIO)は、「10年債と30年債の利回りが4.13%の同水準。これは、年内金利上昇ピークアウトの兆候」と述べている。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。