株式明日の戦略-火曜以降はほぼ横ばい、来週は材料難で小動きか

 18日の日経平均は続落。終値は30円安の27899円。米国株は下げたものの、引け味が悪くなかったことから上昇スタート。ただ、28000円より上が重く、その後は伸び悩んだ。前場では下げてもすかさず買いが入るなど、プラス圏をキープしようとする動きが見られた。後場に入ってからもしばらく小幅高でもみ合っていたが、13時台半ばに下げに転じると、戻す力はなくマイナス圏が定着。小幅な下げではあったが、安値圏で取引を終えた。TOPIXも後場に失速したが、こちらはプラスを確保して終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆9800億円。業種別では保険、医薬品、電気・ガスなどが上昇した一方、海運、サービス、精密機器などが下落した。特別利益計上に伴い、期末配当見通しを大幅に引き上げたアバールデータ<6918.T>が急伸。ストップ高まで買われる場面もあった。半面、米国の長期金利が上昇したことでグロース株にアゲインストの流れとなる中、レーザーテック<6920.T>が5.6%安と、連日で値幅を伴った下落となった。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり986/値下がり753。米長期金利の上昇を手がかりに、東京海上やMS&ADなど保険株が上昇。物色はやや保守的に傾斜しており、エーザイ、協和キリンなど薬品株や、ヤクルト、森永乳業など食品株に資金が向かった。ドル円が円安に振れたことから、三菱自、マツダ、いすゞなど自動車株の一角が大幅高。北欧事業の空調事業買収が好感されたパナソニックが買いを集めた。決算説明会資料の開示を材料に、リボミックが一時ストップ高となるなど人気化した。

 一方、ネガティブな材料が複数あったソフトバンクGが3.9%安。川崎汽船など海運大手3社がそろって強めの下落となった。グロース株が全般さえず、メルカリ、エムスリー、リクルートなどが大幅安。リクルートに関しては証券会社の目標株価引き上げも嫌気された。インサイダー事件で新たな逮捕者が出たと伝わったスクエニHDが下落。ゲーム株の動きが荒く、インサイダーの取引対象株となったAimingは、新作ゲームの配信開始でいったん材料出尽くし感が意識されたこともあって11%安。バンクオブイノベーションは増し担保金徴収措置解除を材料に大幅高スタートとなったものの、買いが続かず6%を超える下落となった。

 日経平均は続落。レーザーテックやソフトバンクGなどの崩れ方を見ると、グロース株はいったん上昇一服とみた方が良さそう。ただ、今週はインバウンド株に見直し買いが入ったほか、きょうは米長期金利が上昇したことで金融株や自動車株に買いが入った。半導体株も直近の上昇で動き出したら強いことが印象づけられており、今の日本株は「安心して売れる」銘柄・業種が少ない状況。急落リスクが小さい局面というのは、個別を物色するには悪くない環境と言える。業績期待が高かった分、決算でいったん材料出尽くしと見なされて売られた銘柄や、日柄の調整が相当進んで下げ余地が限られた銘柄などを仕込むに良い局面と考える。


【来週の見通し】
 横ばいか。東京市場は水曜23日が勤労感謝の日により休場で、立ち合いは4日。米国も木曜24日が感謝祭により休場となる。日本、米国とも休場を挟む上に材料に乏しい週で、方向感が出づらいとみる。米国では23日に11月開催のFOMC議事録が公表される。今週後半に米国要人のタカ派発言を受けて米長期金利が上昇し、国内グロース株にも売りが出たことから、議事録を確認するまでは上値は重いだろう。一方、米国は感謝祭休場の後はブラックフライデーに突入する。年末商戦に対する期待は相場の下支えとなる。今週同様に強弱感が入り交じる状態が続く可能性が高く、指数の水準は大きく変化しないと予想する。
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