株式明日の戦略-半導体株安を冷静に消化、物色には変化が出てくる可能性

 17日の日経平均は3日ぶり反落。終値は97円安の27930円。米国株安を受けて、70円程度下げて始まった。すぐに下げ幅を3桁に広げたが、27900円は割り込むことなく踏みとどまった。そこからいったん戻りを試しに行ったものの、28000円台に乗せてプラス圏を回復したところでは売り直された。再び下げ幅を広げたところでも27900円は下回らなかったことから、後場は100円程度下げた水準でこう着感が強まった。

 減産を発表した米マイクロンテクノロジーの大幅安が嫌気されて半導体株の下げがきつかった一方、10月の訪日外客数を手掛かりにインバウンド関連には買いが入っており、物色には濃淡がついた。プライムでは値上がり銘柄が圧倒的に多く、TOPIXはプラスで終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆8000億円。業種別では陸運、空運、不動産などが上昇した一方、非鉄金属、鉱業、電気機器などが下落した。上期の見通しを大幅に引き上げたヤーマン<6630.T>が、場中は値が付かずストップ高比例配分。半面、通期は最終赤字に転じる見通しとなったモイ<5031.T>は、売りが殺到してストップ安比例配分となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1279/値下がり489。インバウンド関連が広範囲に買われており、三越伊勢丹や高島屋など百貨店株が急伸。空運株や鉄道株も強かったほか、エアトリ、寿スピリッツ、共立メンテナンス、ハブなどが大幅高となった。前日ストップ高となったマイクロ波化学が一段と買われて10%高。三井住友、日本郵政、第一三共など内需の一角に資金が向かっており、三井不動産、東急不動産、野村不動産など不動産株がセクターとして動きが良かった。

 一方、アドバンテスト、東京エレクトロン、信越化学など半導体関連が軒並み安。レーザーテックは8.4%安と突出した下げとなった。東芝の買収提案に参画して巨額の出資をするとの観測が報じられたロームがきのうに続いて大幅安。住友鉱山、大阪チタニウム、東邦チタニウムなど、非鉄関連の下げが大きかった。今期は営業赤字に転落する見込みとなったTOKYOBASEが5%安。年初来高値更新基調が続いていたサイボウズが15%安と大きく値を崩した。

 きょうは半導体株の下げが目立った一方、これと入れ替わるようにインバウンド株の多くに買いが入った。レーザーテックの下げなどはかなり印象が悪かったが、それで総売りにならないのは、今の日本株の地合いが良い証拠。こういう動きが見られると物色の裾野が広がり、全体としては底堅さを増してくる。米国では本日、アプライド・マテリアルズが決算を発表予定。この内容が悪く、レーザーテックや東京エレクトロンがもう一段売られてしまうと、半導体株からはいったん資金が離散するとみておいた方が良さそう。その場合には、現状で過熱感が乏しいものが選好されることになるだろう。半導体株は25日線からの上方かい離、インバウンド株は下方かい離が大きくなっているものが多く、それぞれが25日線に収れんしていくような展開も想定される。

 日経平均の方は今週は月曜14日こそ300円安と大きく下げたが、以降は地政学リスクの高まりやきょうの半導体株の急落など、きな臭い動きがあった割には大きく崩れてはいない。終値(27930円)では5日線(28035円、17日時点、以下同じ)を下回ってしまったが、75日線(27638円)や25日線(27415円)は大きく上回っている。25日線を割り込むような下げとならなければ、下値切り上げのトレンドに変化はないと判断できる。
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