NY為替見通し=米金利動向に連れる展開に、ボストン連銀総裁はハト派寄りの発言になるか

 本日のNY為替市場は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票メンバーの一人でもある、コリンズ・ボストン連銀総裁の講演内容を確かめながら、米金利に連れる動きとなるか。

 10日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)が、市場予想よりも大幅に低下したことがきっかけで始まった、米金利低下とドル安の流れが始まった。

 その後の米連邦準備理事会(FRB)要人の発言は
13日、ウィーラーFRB理事「FRBは利上げペースの鈍化を考え始めることができる]
14日、ブレイナードFRB副議長「利上げペースの減速は近く適切になるだろう」
などと、これまでよりもハト派寄りの発言が相次いだ。

 そして、昨日17日には、今年のFOMC投票メンバーでもあるブラード米セントルイス連銀総裁が「5-7%の金利レンジを示唆」「インフレ抑制のためにさらに金利を引き上げる必要がある」などと発言したことで、米債が売られ(米金利上昇)、ドルの買い戻しが入った。

 しかし、昨日はドルの買いが目立ったものの、14日に付けた140.80円を超えることが出来ず、米10年債利回りも3.8%台に辛うじて上がった程度で、前日16日の3.84%台にすら届いていない。また、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」でも、12月の利上げは低下したとはいえ8割超が50ベーシスの利上げ予想を維持し、75ベーシスポイントは2割にも満たないままである。
 反応が限られた理由の一つとしては、セントルイス連銀総裁が投票権を有するのは、12月が最後になることで、市場は2023年の投票メンバー(シカゴ。フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリスの各連銀総裁)に徐々に注目度が高まっているからという理由もありそうだ。

 よって、本日のコリンズ米ボストン連銀総裁の講演も、よほど強い主張がない限りは市場の反応が限られる可能性もあるか。なお、コリンズ氏は9月の講演ですでに「インフレはピークに達したか、もしくは近い可能性」と発言していたことで、ブラード氏のようなタカ派発言を期待するのは難しいかもしれない。


・想定レンジ上限
 ドル円の上値目途は、上述した14日高値140.80円。その上は90日移動平均線141.42円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目途は、16日安値138.74円。その下は15日安値137.68円。

(松井)
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