ロンドン為替見通し=ユーロドル、タカ派のECB高官発言を見極める展開か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、ウクライナ情勢に関するヘッドラインに注視しつつ、タカ派のホルツマン・オーストリア中銀総裁やレーン・フィンランド中銀総裁の発言で、12月15日の欧州中央銀行(ECB)理事会での利上げ幅を見極めることになる。

 レーン・フィンランド中銀総裁は、ECBはインフレ抑制のために急ピッチな利上げを続ける必要があると指摘し、金利はクリスマス前には経済を刺激しない水準(※中立金利)に達する可能性がある、と述べていた。中立金利は、1.50-2.00%と見なされている。政策金利の中銀預金金利は現在1.50%だが、市場はインフレ高進を背景に、中銀預金金利が年内に2%に達し、来春には3%超に上昇するとみている。
 レーン・フィンランド中銀総裁が想定する中立金利水準が2.00%程度なのか、それとも2.25-50%程度なのかを見極めることになる。

 タカ派のホルツマン・オーストリア中銀総裁は、昨日、「状況が変わらなければ0.75%の利上げを支持する」と発言した。ホルツマン・オーストリア中銀総裁は、これまで中立金利を上回る利上げを主張してきており、昨日同様に0.75%の利上げを繰り返すことが予想される。

 タカ派のECB高官の主張は、10月のユーロ圏のインフレ率が前年比+10.7%まで上昇していることで、ECBはインフレとの闘いを拙速に放棄してはならず、金融政策の正常化路線を続けるほかに選択肢がない、というものである。
 一方、ハト派は、ユーロ圏経済は恐らくリセッション(景気後退)に陥っており、インフレはピークに近い可能性がある、との見立てから、利上げペースを鈍化させるべき、と主張している。
 12月15日のECB理事会に向けて、ハト派とタカ派の主張を見極めていくことになる。

想定レンジ上限
・ユーロドル: 1.0333ドル(11月21日の高値)
・ユーロ円:146.75円(11月10日の高値)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0208ドル(日足一目均衡表・転換線)
・ユーロ円:144.66円(日足一目均衡表・転換線)


(山下)
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