株式明日の戦略-3日続落も28000円は意識、インバウンド株の上昇に安心感

 29日の日経平均は3日続落。終値は134円安の28027円。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり509/値下がり1246。前日の下げも中国要因が主であったとの見方が強まったことで、この影響が小さいと思われる内需の一角には資金が向かった。三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクがそろって上昇。第一生命や東京海上など保険株も上昇しており、金融株が強かった。現状では中国からの訪日客が低水準であることを手掛かりに、JAL、ANA、JR西日本、西武HDなどインバウンド関連の多くが上昇。中国の政策転換への期待から、INPEX、石油資源開発、住友鉱山など資源関連が物色された。証券会社の新規カバレッジが入ったベクトルが急伸。株式分割を発表した新東がストップ高となった。

 一方、アルツハイマー病治療薬で2例目の死亡が報告されたと伝わったエーザイが急落。中国・武漢工場の稼働を停止したと報じられたホンダが売られており、トヨタや日産自など自動車株が軒並み安となった。中国の「iPhone」工場の混乱を材料に米アップルが売られたことから、関連とみられているアルプスアルパインや太陽誘電が大幅安。北陸電力や中国電力など直近で強く買われる場面のあった電力株が利益確定売りに押された。多木化学は「バカマツタケ」に関するリリースが失望となって急落した。

 日経平均は3日続落。ただ、終値では28000円を上回っており、節目は意識された。下げ幅やプライムの値上がり・値下がりはきのう28日と似ている(28日は120円安で値上がり507/値下がり1272、本日は134円安で値上がり509/値下がり1246)が、雰囲気はかなり違う。きのうは下げる理由がはっきりしなかったが、きょうは中国が理由であることが明白になったことで、きちんと銘柄を選別する動きが見られた。インバウンド関連は現状では中国からの訪日客の恩恵がほとんどないため、この局面で真っ先に買われたのは期待が持てる。これらは中国が「ゼロコロナ政策」を転換した場合にはさらに買える要素があるという点で、短期的な選好が強まる可能性がある。日経平均は5日線(28194円、29日時点、以下同じ)は明確に下回ってしまったが、チャートはまだ崩れていない。下に控えた25日線(27751円)を割り込む前に強い反転が見られるかが、目先の注目点となる。
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