東京為替見通し=ドル円 神経質な動き続くか、米リセッションも意識

 昨日の海外市場でドル円は136円割れでは下げ止まり137円台まで反発。ユーロドルが1.05ドル前半で頭を抑えられ1.0459ドルまで売り押された。米利上げの長期化観測がドルの支えとなり、軟調な米株を眺めてリスク回避のドル買いも見受けられた。ユーロ円は144円を頭に143円前半まで水準を落とす場面があった。

 本日の東京為替市場でもドル円はかなり神経質な動きとなりそうだ。昨日は1日を通して軽い値動きが続いた。本日も少しのフローで簡単に上下する展開が引き継がれてもおかしくはない。昨日高値を超えるようなら138円前半の1日高値圏まで上げ足を速めることは十分想定され、一方で下値も昨日の欧州昼過ぎにつけた136円割れもあり得る。

 米国市場では、米10年債利回りが低下していたにもかかわらずドルの下値は堅かった。アジア時間で米国の動きに抗えるはずもなく、米金利への反応はあったとしても限定的だろう。
 
 気になるのは10年債利回りと2年債利回りの逆イールド幅が約40年ぶりの水準まで拡大していること。米金利全般が低下したにもかかわらず、昨日はハイテク・グロース株の比率が高いナスダック総合の下げが顕著だった。米金利と株の動きを見る限りでは、市場は来年の米リセッション(景気後退)に備えているようだ。アジア株も下げ幅を拡大するようであれば、リスクに敏感なオセアニア通貨の対ドルや対円での売りが市場を先導することになるか。

 昨日大きく下げた原油先物の動向にも目を向けておきたい。エネルギー消費大国の中国では複数地域がコロナ規制を緩和し、経済活動の正常化が期待されている。また、石油輸出国機構(OPEC)プラスは現状の減産幅維持を決定し、ロシアは同国産原油に対する価格制裁に加わった国への輸出禁止の方針を打ち出すなど、原油買いのニュースが目立つ。それにもかかわらず原油価格が上がらないというのは、需給バランスがかなり崩れているからかもしれない。産油国通貨とされるカナダドルの動きが他通貨に影響する場面もありそうだ。

 なお、本日の経済指標では、7-9月期豪国内総生産(GDP、予想:前期比0.7%/前年比6.2%)や11月中国貿易収支(予想:781.0億ドルの黒字、4860.0億元の黒字)が発表予定。豪GDPについては遅行指標ではあるものの、予想からプラス幅がどの程度振れるかを見極め。特に、4-6月期から減速見込みの前期比には要注意か。中国貿易収支は黒字幅の単純な増減では相場の反応は鈍そう。輸出の勢いがどの程度まで回復しているかなどをチェックしたい。

(小針)
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