NY為替見通し=ドル円 FRB議長発言の影響を依然として見極め、米経済指標にも要警戒

 本日のNY為替市場のドル円は、昨日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言に対する影響を見定めながら、複数の重要な経済指標のネガティブサプライズを警戒する展開か。

 まずは、FRBがインフレ指標として注視しているPCEデフレーターの10月分に注目。伸び率の前年比予想が+6.0%と9月+6.2%から鈍化が見込まれている。同指標の前年比は6月+6.8%をピークに、7月が+6.4%、その後2カ月は+6.2%と減速傾向だ。エネルギー価格も下落基調にあった10月のリスクシナリオは、PCEデフレーターが+5%台まで下振れた場合だろう。そうなると、昨日のパウエルFRB議長の講演以降に強まったドル売りの流れに拍車がかかる可能性が高まりそうだ。

 パウエル議長は昨日、政策金利引き上げのペースを12月にも減速させることを示唆。一方で、インフレとの闘いのため利上げを継続し、金利をなおしばらくの間は景気抑制的な水準にとどめる必要があるとの見解を示した。 発言自体は、11月のFOMC後の記者会見での「悪魔の取引(davil’s bargain)」と評価された発言とほぼ同じ。しかしながら「引き締め過ぎるリスク」に言及したことで、市場はハト派寄りと見なした。

 FRB議長の発言を受けて金利市場では、それまで5%台としていた利上げサイクルの「金利の最終到達点」について、来年半ばのある時点で4.90%台までと織り込み度が低下。またCMEがFF金利先物に基づき算出する「FedWatch」によると、12月FOMCでの0.50%利上げ確率は前日66%台から82%付近まで上昇している。一方、0.75%利上げ織り込み度はその分低下した。

 日本時間24時に発表予定の11月米ISM製造業景気指数は予想49.8と、10月から若干の低下見込み。予想通りであれば、20年5月以来の「景気の拡大・後退の分岐点50」割れとなる。パウエルFRB議長言うところの「引き締め過ぎるリスク」が現実味を帯びることになり、こちらもドルの重しとなりそうだ。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値目処(めど)は11月30日安値の137.65円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値目処(めど)は8月19日安値の135.72円。その下は、8月18日安値134.65円や200日移動平均線134.43円が意識される。
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