東京為替見通し=ドル円 方向感を探る展開、来年以降の米金融政策への思惑交錯

 昨日の海外市場でドル円は欧州序盤の137円後半からニューヨーク午後には136円前半まで反落した。米10年債利回りが3.40%付近と9月15日以来の水準まで低下した影響を受けた。ユーロドルは1.04ドル半ばから1.0550ドルまで上昇後に伸び悩んだ。
 カナダ中銀の利上げ発表後にドル/カナダドル(CAD)は1.36CAD割れとなるも、声明で利上げサイクル終了が示唆されたこともあり、一巡後は下げ渋った。

 本日の東京為替市場でも、来年以降の米金融政策への思惑が交錯するなかでドル円は方向感を探る展開が続きそうだ。昨日NYタイムでは米長期金利に沿った動きとなった。米10年債利回りがしっかりと3.50%を割り込んできており、足もとではドルの重さが意識されるか。昨日安値136.22円から一昨日安値135.97円までが目先の支持帯として働くかが注目される。

 来週13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、CMEのFF金利先物市場では50ベーシスポイント(bp)の利上げ確率を約75%とみている。明日の11月米卸売物価指数(PPI)次第で変化があるかもしれないが、4会合連続で75bp引き上げたところからの上げ幅減速はある程度織り込み済み。注目すべきは来年以降の引き締めスタンスだろう。今のところ金利先物市場における1月31-2月1日FOMCでの利上げ幅確率は25bpと50bpで拮抗している。

 昨日はプーチン露大統領が大統領府人権評議会で述べた「世界で核戦争のリスクが上昇しつつある」が相場のリスク要因となった。一部メディアが報じたところによるとプーチン大統領は、評議会委員が求めた「核の先制不使用の宣言」を拒否したもよう。ウクライナへの露軍侵攻が想定以上に長期化し、先行きも不透明感のなか、プーチンはかなり焦っているように感じる。ロシアに絡んだ地政学リスクに敏感なスイスフランの動向には目を向けておく必要があるだろう。
 
 アジア・オセアニア時間の経済指標では、本邦7-9月期実質GDP改定値や10月国際収支、10月豪貿易収支が発表される。いずれも遅行指標ではあるが、日本の成長鈍化の程度や貿易赤字幅は注目すべきか。また、中国の新型コロナウイルス規制緩和の行方も材料視されるタイミングがあるかもしれない。

(小針)
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