欧州マーケットダイジェスト・15日 株急落・ユーロドル行って来い

(15日終値:16日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=138.08円(15日15時時点比△2.49円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=146.36円(△1.84円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0599ドル(▲0.0059ドル)
FTSE100種総合株価指数:7426.17(前営業日比▲69.76)
ドイツ株式指数(DAX):13986.23(▲473.97)
10年物英国債利回り:3.244%(▲0.071%)
10年物独国債利回り:2.083%(△0.143%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(各市場の動き)
・ユーロドルは行って来いの展開となった。欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、市場予想通り政策金利を0.50%引き上げることを決めたと発表。声明では「一段の金利上昇を見込む」「金利は安定したペースで大幅に上昇する必要がある」と指摘した。この結果を受けて欧州債利回りが上昇すると、ユーロは買いで反応した。
 ラガルド総裁が理事会後の会見で「今後の利上げ幅についてはデータ次第」としながらも、「当面は0.50%の利上げが予想される」「来年2月と3月も0.50%の利上げの可能性がある」と発言すると全般ユーロ買いが活発化。前日の高値1.0695ドルを上抜けて一時1.0735ドルと6月9日以来約半年ぶりの高値を付けた。
 ただ、買い一巡後は一転下落した。欧米中銀の積極的な金融引き締めが長期化するとの警戒感から、欧米株価が急落するとリスク・オフのドル買いが優勢に。2時30分前には一時1.0593ドルと日通し安値を更新した。
 なお、欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は3.5%超下落したほか、ダウ平均は一時940ドル超下げた。

・ドル円はしっかり。前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年末時点の政策金利見通しが引き上げられ、市場の想定を上回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が改めて意識された。
 NY市場に入ると、11月米小売売上高や12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数など、この日発表の米経済指標が軒並み予想を下回ったことを受けて136.18円付近まで売られたものの、下押しは限定的だった。
 ECBが想定よりもタカ派的な姿勢を示したことで、欧州株相場が急落すると為替市場ではリスク回避のドル買いが進行。3時過ぎには一時138.17円と11月30日以来約2週間ぶりの高値を更新した。

・ポンドドルは一時1.2157ドルまで下落した。英中銀金融政策委員会(MPC)結果公表後もしばらくは1.23ドル台前半でのもみ合いが続いていたが、NY勢が加わる時間帯に入ると売りが優勢になった。欧米株価の大幅下落を受けてリスク・オフのドル買いが進んだ流れに沿った。
 なお、英中銀(BOE)はこの日、市場予想通り0.50%の利上げを実施し、声明では「物価や賃金に起因する国内インフレ圧力に対処するため、一段の利上げが必要になる可能性がある」と表明。同時に公表した議事要旨では「6人が0.50%、1人が0.75%の利上げを支持した一方、2人が据え置きを主張した」ことが明らかになった。

・ユーロ円は堅調。タカ派的な姿勢を示したECBと、大規模な金融緩和策を維持する日銀との金融政策の方向性の違いが意識されて、円売り・ユーロ買いが出やすい地合いとなった。1時過ぎに一時146.73円と11月10日以来約1カ月ぶりの高値を更新した。

・ロンドン株式相場は続落。欧米中銀の積極的な金融引き締めが長期化するとの警戒感から、投資家がリスク回避姿勢を強めると株売りが広がった。HSBCやバークレイズなど金融株の下げが目立ったほか、グレンコアやCRHなど素材株に売りが出た。BPやシェルなどエネルギー株も軟調だった。

・フランクフルト株式相場は大幅続落。ECBは市場予想通り0.50%の利上げを決めたものの、ラガルド総裁は理事会後の会見で想定よりもタカ派的な姿勢を示した。ECBの積極的な金融引き締めが長期化するとの警戒感から、投資家がリスク回避姿勢を強めると株売りが広がった。個別ではザランド(7.71%安)やドイツポスト(7.25%安)、シーメンス・ヘルシニアーズ(5.61%安)などの下げが目立ち、全40銘柄が下落した。なお、フランスの株価指数は3.09%安、スペインは1.70%安、イタリアは3.45%安となった。

・欧州債券相場は下落。ECBがタカ派的な姿勢を示したことで独国債に売りが出た。

(中村)
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