NY為替見通し=インフレ指標に注目、連休前で流動性薄く神経質な動きも

 本日のNY為替市場でドル円は、米国11月PCEデフレーターや12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ・確報値)での1年先インフレ期待を見極めながらの展開を予想する。連休前ということもあり、流動性が薄いなかで神経質に上下しそうだ。市場予想や速報値から大きく振れた場合の荒い値動きには注意したい。

 米国のインフレ伸び率は鈍化傾向にあり、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米PCEデフレーターも、11月は前年比予想+5.5%と前回から伸び率減速が見込まれている。予想通りの低下幅が確認された場合、先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された来年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)5.10%(※FF金利誘導目標5.00-25%)に対し、懐疑的な見方が浮上することになりそうだ。

 また、12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)の速報値では1年先インフレ期待が4.6%だった。本日は確報値ではあるものの修正される可能性もあり、目を向けておく必要があるだろう。

 なお米国のインフレ指標は以下の通り、6月をピークに鈍化傾向を示している。

  【PCE】  【CPI】 【PPI】 【1年先のインフレ期待(※ミシガン大学)】
6月:6.8%   9.1%   11.3%   5.3%
7月:6.4%   8.5%   9.8%   5.2%
8月:6.2%   8.3%   8.7%   4.8%
9月:6.2%   8.2%   8.4%   4.7%
10月:6.0%   7.7%   8.0%   5.0%
11月:本日発表 7.1%   7.4%   4.9%
12月: -    -     -     4.6% 

 来年のインフレ見通しに関しては、ガントラック米ダブルライン・キャピタル最高投資責任者(CIO)、サマーズ元米財務長官、イエレン米財務長官などが低下基調と予想。

 来年のFOMCのメンバーでは、3人のタカ派、ブラード・セントルイス連銀総裁、メスター・クリーブランド連銀総裁、ジョージ・カンザスシティー連銀総裁が投票メンバーから外れる。代わりに、ハト派や中立派が投票権を持つことになりタカ派色が薄れる。すなわち、インフレ率の鈍化傾向が続いた場合は、ターミナルレートの引き下げに繋がることになるかもしれない。

 なお本日23日で期限切れとなる「つなぎ予算」は、昨日22日に米上院が歳出法案を可決。本日、民主党が主導権を握る下院で採決見込みであり、政府機関の閉鎖は回避されることになる。

・想定レンジ上限
 ドル円の上値めどは20日夕刻(日銀総裁の会見時)133.69円。

・想定レンジ下限
 ドル円の下値めどは21日安値131.50円。


(山下)
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