株式明日の戦略-ハイテクや不動産の下げが続く、金利上昇への警戒は拭えず

 28日の日経平均は3日ぶり反落。終値は107円安の26340円。米国で長期金利が上昇し、ハイテクグロース株が強く売られたことを嫌気して、寄り付きから3桁の下落。米株動向を受けてレーザーテック<6920.T>など半導体株が弱く、安く始まった後、しばらくは下値模索が続いた。しかし、下げ幅を200円超に広げて26200円を割り込んだところで売りが一巡。そこからやや戻した26300円近辺で長くこう着相場が続き、後場に入ると値幅がほとんど出なくなった。引け間際に下げ幅を縮める動きが見られたことから、3桁下落ではあったものの、高値圏で終了した。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆3200億円。業種別では保険、電気・ガス、鉄鋼などが上昇した一方、空運、不動産、海運などが下落した。3Q決算が好感されたパレモ・ホールディングス<2778.T>が急騰。半面、投資有価証券の売却に伴い業績見通しを更新したフリークアウト・ホールディングス<6094.T>は、買いが先行したものの続かず、15.2%安と急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり826/値下がり911。米金利の上昇を手がかりに、東京海上やMS&ADなど保険株が強い上昇。1:5の株式分割を発表したOLCが、高く始まった後に失速はしたもののプラスで終えた。米国でディフェンシブ株の動きが良かったことから、東北電力や中国電力など電力株が軒並み高。株主還元強化を発表したピックルスHDが急騰した。

 一方、レーザーテックやメルカリなどグロース株の主力銘柄が大幅安。指数寄与度の大きいファーストリテイリング、ソフトバンクG、東京エレクトロンが弱かったほか、川崎汽船や日本郵船など海運株が売りに押された。大手行が住宅ローン固定金利を引き上げるとの観測が伝わったことから、三井不動産や住友不動産など不動産株が全般軟調。3Q決算が失望を誘ったスギHDが急落した。

 日経平均は終日軟調。下を試して前場のうちに下げ止まったが、そこからの戻りは限られた。直近安値は割り込まなかったが、底打ち感が出てきたとまでは言えない。自動車株には買われるものもあったが、ハイテク株や不動産株など、足元で弱さが目立つところが一段と売られている。これらが切り返してくれば、そのことが指数にも好影響を及ぼすと思われるが、米国で長期金利が上昇傾向にあるうちはなかなか厳しい。かといって、年の瀬で米国の金利を低下させるような材料が出てくることも期待しづらい。年内の残り2営業日は、モヤモヤしながら方向感のない動きが続きそうだ。
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