東京為替見通し=ドル円 底堅さ継続、日銀の緩和姿勢を確認・レパトリやリスク回避の動きも
【ドル売り・円買い材料】
・FRBの「利上げ」を「利下げ」に訂正しました。
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、133.40円付近を下押し水準に134.50円まで上昇した。米長期金利の上昇がドル買いを促した。ユーロドルは1.0674ドルまで上昇後、1.0607ドルまで反落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日に日銀の緩和姿勢が確認されたことを受けて底堅い展開が予想される。また、米国企業の期末・年末に向けたレパトリエーションにも警戒し、中国でのコロナ感染拡大懸念によるリスク回避のドル買いなどにも下支えされそうだ。
昨日公表された19-20日開催の日銀金融政策決定会合での「主な意見」は、審議委員、財務省と内閣府の出席者が「YCCの上限引き上げは、より持続的な金融緩和を実施するためのものと受け止めている」との見解で一致していることが明らかになった。すなわち、黒田日銀総裁の発言「YCCの上限引き上げは利上げではない」を裏付けるものだった。
そして指し値オペも実施されたことで、ドル円は、円の買い持ちポジションの手仕舞いにより、欧米市場にかけて134.50円まで上昇。20日のYCCショックの下げ幅の半値戻し134.03円、過去9日間の中心値(一目均衡表・転換線)134.24円を上回り、「半値戻しは全値戻し」を達成している。すなわち、「YCC上限引き上げは利上げではない」という見解に対して、半分は信じ、半分は依然として懐疑的なままだと示唆されている。
昨日、イタリア・ミラノの保健当局が、中国からの航空便の乗客のほぼ半数が新型コロナウイルス検査で陽性だったと明らかにしたことで、リスク回避の株安・ドル高要因の1つとされている。
ドル円のテクニカル分析では、10月21日の高値151.95円を頭にして、ネック・ライン(130.41円・130.58円)による「ヘッド・アンド・ショルダー」を形成中であり、現在は、左肩の139.39円に対応する右肩を形成中だと思われる。
2022年の外国為替取引も残すところ、本日と明日の2日間となったことで、来年の材料、そして見通しを整理しておきたい。
■ファンダメンタルズ分析
【ドル買い・円売り材料】
・12月FOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)で、2023年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.10%(FF金利:5.00-25%)と示されたこと
・新日銀執行部の下でも、YCCの上限+0.5%が堅持される可能性が示唆されていること
・日本の貿易赤字が継続する可能性
【ドル売り・円買い材料】
・米国経済がリセッション(景気後退)に陥り、FRBの利下げが開始される可能性
・新日銀執行部がマイナス金利とYCCを解除する可能性
・原油・商品価格の低下で、日本の貿易赤字が縮小する可能性
■テクニカル分析
ドル高・円安8年サイクルからは、2023年6月頃の152.70円(V計算値=125.86円+26.84円)での反転が見込まれている。しかし、10月の高値151.95円でピークアウトした可能性もあることで、留意しておきたい。
ピークアウトが今年10月の151.95円だったのか、あるいは来年6月頃かは今のところ不明だが、判断材料は、151.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーのネック・ライン(130.41円・130.58円)が維持されるか否かとなる。
すなわち、ヘッド・アンド・ショルダーが稀な上昇トレンドの途上に出現するパターンとなるのか、それとも通常パターン通りに高値反転となるのかを見極めることになる。その後は、2030-31年のドル高・円安に向けた調整局面を予想する。下値の目処は、第1波動(75.32円~125.86円)の終点である125円処と想定しておきたい。
ドル円のエリオット波動分析では以下の通りとなる。
・第1上昇波動:75.32円~125.86円 (+50.54円)
・第2調整波動:125.86円-101.19円
・第3上昇波動:101.19円-151.95円 (+50.76円)=第1上昇波動
(山下)
・FRBの「利上げ」を「利下げ」に訂正しました。
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、133.40円付近を下押し水準に134.50円まで上昇した。米長期金利の上昇がドル買いを促した。ユーロドルは1.0674ドルまで上昇後、1.0607ドルまで反落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日に日銀の緩和姿勢が確認されたことを受けて底堅い展開が予想される。また、米国企業の期末・年末に向けたレパトリエーションにも警戒し、中国でのコロナ感染拡大懸念によるリスク回避のドル買いなどにも下支えされそうだ。
昨日公表された19-20日開催の日銀金融政策決定会合での「主な意見」は、審議委員、財務省と内閣府の出席者が「YCCの上限引き上げは、より持続的な金融緩和を実施するためのものと受け止めている」との見解で一致していることが明らかになった。すなわち、黒田日銀総裁の発言「YCCの上限引き上げは利上げではない」を裏付けるものだった。
そして指し値オペも実施されたことで、ドル円は、円の買い持ちポジションの手仕舞いにより、欧米市場にかけて134.50円まで上昇。20日のYCCショックの下げ幅の半値戻し134.03円、過去9日間の中心値(一目均衡表・転換線)134.24円を上回り、「半値戻しは全値戻し」を達成している。すなわち、「YCC上限引き上げは利上げではない」という見解に対して、半分は信じ、半分は依然として懐疑的なままだと示唆されている。
昨日、イタリア・ミラノの保健当局が、中国からの航空便の乗客のほぼ半数が新型コロナウイルス検査で陽性だったと明らかにしたことで、リスク回避の株安・ドル高要因の1つとされている。
ドル円のテクニカル分析では、10月21日の高値151.95円を頭にして、ネック・ライン(130.41円・130.58円)による「ヘッド・アンド・ショルダー」を形成中であり、現在は、左肩の139.39円に対応する右肩を形成中だと思われる。
2022年の外国為替取引も残すところ、本日と明日の2日間となったことで、来年の材料、そして見通しを整理しておきたい。
■ファンダメンタルズ分析
【ドル買い・円売り材料】
・12月FOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)で、2023年末のターミナルレート(利上げの最終到達点)が5.10%(FF金利:5.00-25%)と示されたこと
・新日銀執行部の下でも、YCCの上限+0.5%が堅持される可能性が示唆されていること
・日本の貿易赤字が継続する可能性
【ドル売り・円買い材料】
・米国経済がリセッション(景気後退)に陥り、FRBの利下げが開始される可能性
・新日銀執行部がマイナス金利とYCCを解除する可能性
・原油・商品価格の低下で、日本の貿易赤字が縮小する可能性
■テクニカル分析
ドル高・円安8年サイクルからは、2023年6月頃の152.70円(V計算値=125.86円+26.84円)での反転が見込まれている。しかし、10月の高値151.95円でピークアウトした可能性もあることで、留意しておきたい。
ピークアウトが今年10月の151.95円だったのか、あるいは来年6月頃かは今のところ不明だが、判断材料は、151.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーのネック・ライン(130.41円・130.58円)が維持されるか否かとなる。
すなわち、ヘッド・アンド・ショルダーが稀な上昇トレンドの途上に出現するパターンとなるのか、それとも通常パターン通りに高値反転となるのかを見極めることになる。その後は、2030-31年のドル高・円安に向けた調整局面を予想する。下値の目処は、第1波動(75.32円~125.86円)の終点である125円処と想定しておきたい。
ドル円のエリオット波動分析では以下の通りとなる。
・第1上昇波動:75.32円~125.86円 (+50.54円)
・第2調整波動:125.86円-101.19円
・第3上昇波動:101.19円-151.95円 (+50.76円)=第1上昇波動
(山下)