株式明日の戦略-大幅安で一時26000円割れ、先に切り返すのは新興銘柄か

 29日の日経平均は大幅続落。終値は246円安の26093円。米国株が大幅安となり、ナスダックが終値で年初来安値を更新したことを受けて、200円超下げて始まった。そこから下げ幅を300円超に拡大。開始早々に節目の26000円は割り込んだ。ただ、節目より下ではすかさず押し目を拾う動きが見られたことから、次第に売り圧力が和らいだ。26000円近辺での一進一退がしばらく続き、後場に入ると節目より上が定着。大幅安ではあったが、大引けが後場の高値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆3100億円。業種別では水産・農林、不動産、電気・ガスなどが上昇した一方、鉱業、海運、ゴム製品などが下落した。配当見通しを大幅に引き上げたグラファイトデザイン<7847.T>がストップ高。半面、証券会社が投資判断を引き下げた平和不動産<8803.T>が大幅安となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり938/値下がり818。序盤は全面安であったが、終わってみれば値上がりが値下がりを上回った。中国で海外ゲームの認可が再開されたことを手がかりに、ネクソンやコーエーテクモなどゲーム株の一角が大幅上昇。これとは別に個別の材料があったバンクオブイノベーションが、一時ストップ高となるなど人気化した。直近上場株に値幅を求めた資金が向かっており、オープンワークやウェルプレイドが急伸。今月27日に上場したELEMENTSとBTMがともにストップ高となった。ほか、三井不動産や住友不動産など、直近で売り込まれていた不動産株に見直し買いが入った。

 一方、原油安を受けてINPEXが大幅安。川崎汽船など海運大手3社の下げが大きかった。三菱UFJが米金利上昇を受けて買いが先行したものの早々に失速。こういった動きを横目で見ながら直近で買われた銘柄が利食い売りに押されており、三越伊勢丹や西武HDなど経済活動再開銘柄の多くが大幅安となった。クスリのアオキは上期の計画上振れ着地が好感されず12%安。コスモス薬品、スギHD、アインHDなどドラッグストア株の多くが連れ安した。権利落ちの関係でJTやノーリツ鋼機など12月決算銘柄は下に値幅が出るものが多かった。

 本日グロースに上場したスマサポは、買いが殺到して初値は持ち越しとなった。

 日経平均は大幅安。26000円を割り込まずに年を越せるかどうかといった状況がしばらく続いていたが、米国株が弱く、持ちこたえられなかった。売り込まれていた不動産株が早い時間から上昇するなど26000円割れを待っていたような動きは見られたし、意外にも値上がり銘柄は多かった。ただ、それであれば指数の方も、もう少し戻して終えてほしかったところ。26000円割れでは下げ渋ったが、終値(26093円)はかろうじて節目を上回った程度にとどまった。きょう29日の時点では、12月の月間では約1875円下落している。中盤以降に弱かった反動で大納会はご祝儀的に買われるかもしれないが、あす1000円上げたところで、強めのリバウンドでしかないことは意識しておく必要がある。

 一方で、マザーズ指数やグロースコア指数に関しては、プラスで終えている上に実体の長い陽線を形成した。火曜27日にも実体の長い陽線を形成しており、こちらは下げ止まっても良さそうな雰囲気が出てきた。新興銘柄は年が明ければIPOラッシュが一巡することで需給環境が改善するという要素がある。グロース市場の主力銘柄などにガラッと動きが良くなるものが出てくるかに注目したい。
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