株式明日の戦略-大納会は後場に失速、2023年はスロースタートか

 大納会30日の日経平均は横ばい。終値は0円83銭高の26094.50円。米国株は長期金利の低下を好感して大幅高。これを受けて、寄り付きは200円近い上昇となった。しかし、レーザーテック<6920.T>や東京エレクトロン<8035.T>など大型半導体株が買い先行から早々に失速したことから、全体もすぐに頭打ち感が出てきて失速した。その後は、上げ幅を縮めては盛り返すといった動きが続いた。前場では上げ幅を一桁に縮めてもマイナス圏入りは回避した。しかし、後場は14時辺りから崩れて下げに転じる場面もあった。引け間際までどちらで終わるかはっきりしない状況が続いたが、終値では1円未満という微妙な結果ではあったものの、なんとかプラスを確保した。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆1300億円。業種別では海運、銀行、小売などが上昇した一方、鉱業、石油・石炭、食料品などが下落した。ファーストリテイリング<9983.T>が1.9%高と売買代金上位銘柄の中では動きが良く、日経平均の大納会プラスに大きく貢献した。半面、米金利の低下が日本株、特にグロース株にはそれほど支援材料とならなかったこともあり、リクルートホールディングス<6098.T>が軟調となった。


 東証1部の騰落銘柄数は値上がり895/値下がり843。三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行が米金利の低下をネガティブ視することなく上昇。住宅ローン固定金利引き上げに関するニュースが刺激材料になったとの見方があった。川崎汽船など海運大手3社の動きが良かった。好材料のあった銘柄に資金が殺到しており、上方修正や増配を発表したアダストリアが17%高。中国子会社の深セン創業板市場上場を材料にフェローテックが大幅高となった。直近IPO銘柄が派手に動いており、monoAIがストップ高まで買い進まれた。

 一方、米金利の低下を受けてもレーザーテックが3.4%安。東京エレクトロンやディスコなど半導体関連が全般弱かった。ネクソン、コーエーテクモ、バンクオブイノベーションなど、前日に買われたゲーム株が強めの下落。米国の新工場建設に関して工事着工延期を発表した日本電解が大幅安となった。jig.jpやサンクゼールなど、直近IPO銘柄は下に値幅が大きく出たものも多かった。

 上場2日目で公開価格比2.8倍の初値をつけたスマサポは、寄った後も買いを集めてストップ高で終えた。

 日本株に関しては、米国が金融引き締めを警戒し続けているうちは、金融、バリュー、ディフェンシブ、インバウンド、政策関連(原発・防衛など)などを、その時々の相場環境に応じて物色する流れがしばらく続くとみる。日本の金融政策に変化が出てくるかどうかという点も含めて、金融株の動向が中でも注目される。2023年は国内でもインフレがより一層意識されるかもしれないが、賃上げを伴ったインフレとなるかがポイントとなる。モノの値段は上がる、でも給料も上がるということであれば、日本株はインフレをそれほど悪いものと捉えない可能性がある。一方、企業が経営環境の不透明さを理由に賃上げに及び腰となるようなら、インフレに伴うネガティブな側面が一段とクローズアップされるだろう。個別に関しても、従業員にきちんと報いることができる企業の評価が高まると予想する。


【来週の見通し】
 上値の重い展開か。2023年の第一週。大発会は水曜4日で立ち合いは3日間となる。年初で景気良く行きたいところだが、米国では4日に12月開催のFOMC議事録が公表され、6日には12月雇用統計が発表される。2022年12月のFOMCは市場で利上げ長期化への警戒が強まった回であり、米国の雇用指標は良好な状況が続いている。2022年は年末まで米国の金融引き締めへの警戒が強い地合いが続いた。年初から米長期金利を刺激しそうな材料が多く、雇用統計の中身を見極めるまでは腰の入った買いは期待しづらい。大発会でご祝儀的な上昇があったとしても、楽観ムードはさほど高まらないだろう。2023年も米国の金融政策に神経質となる可能性が高い中、週後半にかけて手掛けづらさが強まると予想する。
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