ロンドン為替見通し=ユーロドル、12月独雇用統計とインフレ率に要注目か

 本日のロンドン為替市場のユーロドルは、12月の独雇用統計でドイツの雇用情勢を見極め、消費者物価指数でインフレ率の鈍化傾向を見極めることになる。

 トルコの12月トルコ消費者物価指数(CPI)は、前月比+2.58%、前年比+66.53%と予想されており、11月の前月比+2.88%、前年比+84.39%からの伸び率の鈍化が見込まれている。しかし、伸び率の鈍化は「ベース効果」というテクニカルな要因によるものであり、トルコ中央銀行(TCMB)は、緩和サイクルの停止を表明していることで、リラ相場への影響は限定的だと思われる。

 12月独雇用統計の予想は失業率が5.6%(11月5.6%)、失業者数変化は+1.50万人(11月+1.90万人)となっており、ドイツ経済がエネルギー価格の高騰でリセッション(景気後退)に陥る可能性が高まりつつある中で、雇用統計のネガティブサプライズに要警戒か。
 ナーゲル独連銀総裁は、昨日ドイツ連銀のHPで公表された発言によると、ドイツ経済に楽観的な見方を示しており、景気減速は回避可能との見立てから、更なる追加利上げの必要性を主張している。

 12月独CPI速報値は前年比+9.1%と予想されており、11月の前年比+10.0%からの伸び率鈍化が見込まれている。
 しかしながら、ラガルドECB総裁は、昨年12月の欧州中央銀行(ECB)理事会で第4次追加利上げ(0.50%)を決定した際に、「現時点で入手されている情報に基くと、次回会合(2023年2月2日)と、おそらくその次の会合(2023年3月16日)で、さらに0.50%ポイントの利上げが決定されると予想される」と述べ、追加利上げの可能性を示唆している。
 ドイツのインフレ率の鈍化が確認された場合、ラガルドECB総裁やナーゲル独連銀総裁の見解に要注目か。

 12月英製造業PMI改定値は44.7と予想されており、既にリセッション入りしているとの指摘もある英国経済の低迷を裏付けることになる。
 ポンドドルは、先月14日の高値1.2446ドルから下落基調にあり、本日は、200日移動平均線1.2036ドルを意識した攻防が予想される。

想定レンジ上限
・ユーロドル:1.0787(2022/5/30高値)
・ユーロ円:140.31(1/2高値)
・ポンドドル:1.2174ドル(一目均衡表・基準線)
・ポンド円: 158.56(1/2高値)
・トルコリラ円:7.08円(一目均衡表・転換線)

想定レンジ下限
・ユーロドル:1.0604(2022/12/26安値)
・ユーロ円:137.40(2022/9/26安値)
・ポンドドル:1.1993ドル(2022/12/22安値)
・ポンド円:155.62(2022/9/29安値)
・トルコリラ円:6.79円(2022/12/20-28の上昇幅の下方倍返し)


(山下)
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