東京為替見通し=12月日銀金融政策決定会合議事要旨に要注目か

 20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、黒田日銀総裁が世界経済フォーラム年次総会で「2%の物価目標を安定的、持続的に達成するため現在の極めて緩和的な金融政策を継続する」と改めて表明したことや米10年債利回りが3.49%台まで上昇したことなどで130.61円まで上昇した。しかし、ウォラーFRB理事が「次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げを支持する」と発言したことで129.45円付近まで反落した。ユーロドルは欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測やFRBの利上げペース鈍化観測などから、1.0802ドルから1.0858ドル付近まで堅調に推移した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、12月の日銀金融政策決定会合議事要旨を見極めた後は、日米債券市場の動向や東京株式市場の動向を注視していくことになる。

 8時50分に公表される12月19-20日分の日銀金融政策決定会合議事要旨では、イールドカーブコントロール(YCC)の許容変動幅の±0.5%への拡大を巡る議論に注目したい。
 黒田日銀総裁は昨年6月の日銀金融政策決定会合後の会見で「変動幅の拡大は考えていない」、9月の会見では「上限引き上げは利上げに当たる。金融緩和の効果を阻害するので考えていない」と述べていたことで、許容変動幅の拡大には反対していたとのことである。しかしながら、日銀事務方の要請で変動幅が拡大された、との観測報道もあり、黒田日銀総裁は12月の会見で「変動幅拡大は利上げではない」と述べている。
 12月会合の議事要旨では、次期総裁候補の雨宮日銀副総裁や若田部日銀副総裁、その他の審議委員の見解に要注目か。

 先週の日銀金融政策決定会合では、政策金利(▲0.10%)や許容変動幅(±0.5%)は据え置かれ、共通担保資金供給オペの拡充の決定により、黒田体制下での金融政策の修正はないことが示唆されている。報じられているように、2月10日頃の日銀正副総裁の人選が決まった後の3月9-10日の日銀金融政策決定会合で、金融政策の変更が示唆されるのかもしれないことで、12月会合の議事要旨での言及を見出したい。
 市場では、3月会合での金融政策の変更は、3月の金融機関の決算に悪影響を及ぼすことから、4月会合での新体制の下での金融政策の変更の可能性が高い、との見立てもある模様。

 今後の日銀を巡る予定は以下の通りとなっている。
・2月10日:日銀の正副総裁人事が国会に提示される見通し
・3月9-10:現体制での最後の日銀金融政策決定会合
・3月19日:雨宮副総裁と若田部副総裁が任期満了
・4月8日:黒田総裁が任期満了
・4月27-28日:新体制での最初の日銀金融政策決定会合

 なお、本日から中国市場が旧正月で休場に入ることで、市場流動性がより低下すると思われる。

(山下)
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