東京為替見通し=ドル円、共通担保オペ実施を受けた円債金利低下で底堅い展開か

 23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、日銀が5年物の「共通担保資金供給オペ」を実施し円債金利が低下したことで130.89円まで上昇した。ユーロドルは、欧州市場の高値1.0927ドルから、米長期金利の上昇に伴うドル買で1.0846ドル付近まで下押しした。ユーロ円は米国株高につれた円売り・ユーロ買いで142.09円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日の共通担保資金供給オペ実施を受けた日本国債10年物利回りの低下で底堅い展開が予想される。

 昨日は、日本銀行が18日の日銀金融政策決定会合後に予告していた5年物の共通担保資金供給オペを通告し、オファー額1兆円に対して応札額は3兆1290億円、落札額が1兆円だったことで、日本国債10年物利回りの低下と円安の要因となった。
 ドル円は、東京市場の安値129.04円から海外市場の高値130.89円まで上昇しており、18日の共通担保オペ公表後の128円台から131.58円までの上昇と同様のショートカバーが再現された。
 「共通担保資金供給オペ」は、日銀が「指し値オペ」で国債を購入する直接的手段ではなく、金融機関に資金を供給して国債を購入させる間接的手段であり、担保に限界があるため、新体制までの時間稼ぎに過ぎないのではないか、との懐疑的な見方があるものの、昨日は強力なツールになりうる可能性を高めている。今後は、2月10日頃に国会に提示される日銀の正副総裁人事を待ちながら、イールドカーブコントロール(YCC)を巡る攻防戦、ドル円の130円を巡る攻防戦が繰り広げられることになる。

 YCCを巡る攻防戦を、黒田日銀総裁が城主であるYCC城攻めに例えてみると、落城はYCCの撤廃となる。
 昨年12月20日に許容変動幅が±0.5%へ拡大されたことで、外堀が埋められた。
 今年1月18日に許容変動幅が±0.75%へ拡大されたならば、内堀が埋められることになった。しかし、「共通担保資金供給オペ」により、内堀は死守され、城外に向けて、国債購入という援軍を要請し、23日には1兆円のオファーに3兆円超の援軍が駆け付けたことで、ドル円の130円という外堀の手前まで攻撃軍が撤退した構図となっている。
 黒田城主の任期はもうすぐ終わり、次期城主は、YCC城の防衛を放棄する可能性がある中で、国債の購入という要請を受ける金融機関は、今後も現れるのだろうか。YCC城が落城した場合、要請に従って援軍を派遣した金融機関も痛手を被ることになるのだが。

 ドル円のテクニカル分析では、昨年10月21日の高値151.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーを形成中であり、ネック・ライン(130.41円)を巡る攻防戦が続いている。投機筋主導で、FEDピボット(FRBの利下げ転換)とBOJピボット(日銀の利上げ転換)による日米10年債利回り格差の縮小観測を材料にしたネック・ラインの下抜けが試みられているが、これまでの所、チャート崩しには失敗している。


(山下)
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