株式明日の戦略-3桁高スタートも伸び悩む、FOMC通過で動きは出るか

 2月に入り1日の日経平均は小幅反発。終値は19円高の27346円。米国株の大幅高を受けて、寄り付きは3桁の上昇。開始直後には節目の27500円を上回り、上げ幅を200円超に広げた。しかし、そこからの買いは続かなかった。しばらく27500円近辺でもみ合った後、10時を過ぎた辺りからは上げ幅を縮小。前場を安値圏で終えると、後場には下げに転じる場面もあった。ただ、そこではすぐに切り返したことからマイナス圏は定着せず、小幅なプラスで取引を終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆8500億円。業種別では海運、鉱業、保険などが上昇している一方、陸運、ガラス・土石、建設などが下落している。上期の着地が計画を上振れたGenky DrugStores<9267.T>が急騰。反面、下方修正を発表したTOTO<5332.T>が急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり749/値下がり1014。アドバンテストやSCREENなど3Qの好決算が確認できた半導体株が大幅上昇。TDKは通期見通しを引き下げたが、株価は買いで反応した。ワコムは下方修正を発表したものの、自己株式の追加取得を表明したことが好感されて7.7%高。上方修正と増配を発表したアルプス物流や、1Q営業利益が前年同期比で倍増したFPGが急伸した。上期の見通しを引き上げたキャリアデザインセンターは、買いが殺到してストップ高となった。

 一方、受注の見通しを下方修正したレーザーテックが13.8%安と暴落。売買代金は2位を引き離しての断トツトップとなった。ファストリ、HOYA、ソニーGなど値がさ株の一角が軟調。直近で派手に上げたM&A総研が2桁の下落率と大きく崩れた。JR西日本、セイコーエプソン、東北電力などが決算を受けて大幅安。下方修正や配当見通し引き下げを発表した西松建設が急落した。

 日経平均は小幅高。初動では27500円を超えてきたが、終値ではこれを大きく下回った。あすはFOMCの内容および、米国株の反応に大きく振らされることになるだろう。市場では、今回の利上げ幅が0.5%ではなく0.25%になることへの織り込みが進んでいる。そのため、声明文の内容やパウエル議長会見で出てくるワードに米株マーケットは神経質に反応すると思われる。

 今回のFOMCの手前では、米国株の動きは良かった。FOMCを受けてダウ平均が下げたとしても200~300ドル程度であれば、利益確定売りの一環と捉えられる可能性が高い。ただ、今週はこの先にも注目材料が多い。あす2日にはECB理事会や英国中銀の金融政策発表があり、米国ではアップル、アルファベット、アマゾン・ドットコムなど主力グロース株の決算が出てくる。3日には米国で1月の雇用統計やISM非製造業指数が発表される。FOMCを受けた米国株の反応が売りの場合、「FRBのタカ派色がまだ強いことを警戒→米グロース株はまだ買いづらい→米国の雇用指標が強ければ米金利上昇が株安要因になる」といった風に、ネガティブな連想が働きやすくなる点には注意したい。

 一方、その逆で米国株が買いで反応した場合には、「早期の利上げ減速期待→グロース株に追い風→米雇用統計を過度に警戒する必要がない」といった好循環が発生する展開も期待できる。後から出てくる材料が楽観ムードに水を差す可能性も当然あるが、米国株が上がった方が、その先も好地合いが期待できることは言うまでもない。なお、大方の予想に反して0.5%となった場合には、米国株の急落は避けられない。またその場合、3日の米雇用統計も強く警戒されることから、厳しい下げが続く展開も想定される。可能性は高くはないが、そうなった場合にはひとまず金融株やディフェンシブ株に資金をシフトしておくのが賢明だろう。
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