株式明日の戦略-4日続伸も後場は失速、27500円より上を維持できるかが焦点に

 6日の日経平均は4日続伸。終値は184円高の27693円。3日の米国株は、強い内容となった1月雇用統計や、決算を発表したアマゾンの大幅安などを嫌気して下落した。ただ、日本株はアマゾン株の下落などは織り込み済みで、為替市場でドル高・円安が進行したことや、日銀後任総裁に関する観測報道が出てきたことを好感した買いが入った。

 寄り付きから200円を超える上昇となり、早い時間に上げ幅を300円超に拡大。27800円台に乗せたところでは萎んだものの、盛り返して前場は高値圏で終えた。政府が雨宮正佳副総裁に総裁就任を打診したとの観測報道を受けて日銀の政策修正に対する警戒が後退し、金融株以外は買われる流れとなった。一方、後場は円安一服感が出てきたことから、伸び悩んで上げ幅を縮小。グロース株などには目先の利益を確定する売りも出てきた。結局、3桁の上昇とはなったものの、27700円を下回り安値圏で取引を終了。新興グロース銘柄には日銀を材料に買われるものが少なく、マザーズ指数は下落した。

 東証プライムの売買代金は概算で3兆0100億円。業種別では卸売、鉱業、石油・石炭などが上昇している一方、銀行、電気機器、空運などが下落している。上方修正や増配を発表した日清食品ホールディングス<2897.T>が大幅上昇。反面、3Qが大幅減益となったエーザイ<4523.T>が大幅に下落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1223/値下がり540。日銀新総裁人事の観測報道に好反応を示したのが不動産株で、住友不動産や三井不動産が大幅上昇。円安進行を手がかりに、三菱自やマツダなど自動車株の一角が買いを集めた。上方修正、増配、自己株取得と消却を発表した三菱商事が7.8%高。双日や丸紅など他の商社株にも資金が向かった。3Qが大幅増益となったイリソ電子や、上方修正観測が出てきたセーレンが急伸。1Qが大幅増益となった東和ハイシステムがストップ高となった。

 一方、日銀の金融政策修正に対する期待が後退したことから、三菱UFJ、三井住友など銀行株が大きめの下落。直近で強く買われていたソニーGや信越化学が利益確定売りに押された。ハイテク関連は下落銘柄が結構多く、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体株の弱さが目立った。リクルート、エムスリーなどサービス系のグロース株も弱く、新興グロースのビジョナルは3%を超える下落。決算関連では、3Qが小幅な増益にとどまったカチタスや、上期の営業利益が計画を下振れたチャームの下げが大きかった。

 日経平均は4日続伸。政府が現日銀副総裁の雨宮正佳氏に次期総裁を打診したとの観測報道が株高をもたらした。ただ、日銀総裁の後任が雨宮氏というのはサプライズ人事ではない。今回は日銀人事が今週10日の金曜には提示されるのではという日程であった中、月曜の朝には本命が固まったということがサプライズとなったにすぎない。副総裁人事にサプライズがあった場合には、市場が金融政策の修正・変更を改めて強く意識する可能性はある。実際、買われた方の不動産株、売られた方の金融株ともに前場の動きが後場に幾分修正された。きょうの上昇でこの先の日本株がガンガン上がって行くと考えるのは早計だ。

 米国の1月雇用統計は極めて強い内容となった。米長期金利が上昇した割に米国株が大きく下げなかったのは、FOMCを通過したばかりであったことが大きいと思われる。ただ、雇用指標が強いとインフレへの警戒はくすぶり続ける。あす7日の米国では、パウエルFRB議長の講演とバイデン大統領による一般教書演説が予定されている。議長講演に関しては、直近で強い雇用指標を確認したばかりのため、タカ派色の強い発言が出てきた場合には米国株に神経質な反応が出てくるかもしれない。また、FRBが先々で利下げに踏み切るかどうかについては、バイデン大統領の現状認識も非常に重要。バイデン大統領が今の時点でインフレ抑制に一定の成果が出ているとの認識を持っているようなら、FRBもハト派に傾きやすくなる。一方で、インフレ退治はまだ道半ばというスタンスであれば、FRBは市場にハト派に傾いたと期待させないような政策を採ってくるだろう。あすの日本株は米国ツートップの発言機会を前に様子見ムードが強まると予想する。日経平均はきょう27500円を大きく上回ってきただけに、節目より上をキープできるかが注目される。
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