欧州マーケットダイジェスト・7日 株まちまち・金利上昇・ドル下落

(7日終値:8日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=130.55円(7日15時時点比▲1.70円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=140.48円(▲1.56円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0760ドル(△0.0020ドル)
FTSE100種総合株価指数:7864.71(前営業日比△28.00)
ドイツ株式指数(DAX):15320.88(▲25.03)
10年物英国債利回り:3.317%(△0.073%)
10年物独国債利回り:2.349%(△0.053%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
1月スイス失業率           2.2%        2.1%
12月独鉱工業生産
前月比                ▲3.1%      0.4%・改
前年比                ▲3.9%     ▲0.5%・改
12月仏貿易収支       149.34億ユーロの赤字 135.66億ユーロの赤字・改
12月仏経常収支         85億ユーロの赤字  68億ユーロの赤字

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは一転上昇した。12月独鉱工業生産が前月比▲3.1%/前年同月比▲3.9%と予想の前月比▲0.7%/前年同月比▲1.6%を下回ったことが伝わると全般ユーロ売りが先行。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの期待が後退する中、米長期金利が上昇するとユーロ売り・ドル買いがさらに進んだ。24時30分過ぎに一時1.0669ドルと1月9日以来の安値を付けた。
 ボスティック米アトランタ連銀総裁は「あと2回の利上げが基本シナリオ」「雇用統計の結果はピークレートの一段の上昇の可能性を高める」と述べたほか、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁は「インフレ抑制に必要な金利のピークは引き続き5.4%前後と予想する」と語るなど、FRBの金融引き締めが当面続くとの見方が強まった。
 ただ、パウエルFRB議長が「さらなる利上げを行う必要があるだろう」としながらも、「商品など物の分野でディスインフレ・プロセスが始まっている」と語り、前週末の1月米雇用統計前のトーンを維持すると一時は3.6641%前後と約1カ月ぶりの高水準を付けた米10年債利回りが3.59%台まで急低下。全般ドル売りが優勢となり、一時1.0766ドルと日通し高値を更新した。

・ユーロ円は軟調。独経済指標の下振れをきっかけに円買い・ユーロ売りが入ったほか、市場では「ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円買いのフローが観測された」との声が聞かれ、一時140.29円と日通し安値を更新した。
 なお、ナーゲル独連銀総裁は「欧州中央銀行(ECB)は一段の大幅利上げが必要」「早期利上げを止めてはならない」「金利はまだ制限的な領域にはない」と述べたほか、シュナーベルECB専務理事は「3月は0.50%の利上げを行う意向」「インフレのモメンタムは依然として非常に高い」と発言したものの、相場の反応は限られた。

・ドル円は頭が重かった。ユーロ円などクロス円の下落につれた売りが出た半面、対欧州・オセアニア通貨でドル買いが進んだ影響を受けたため、しばらくはもみ合いの展開続いた。
 ただ、米長期金利が低下に転じると円買い・ドル売りがじわりと強まった。ロンドン・フィキシングに絡んだ円買いのフローも観測されてじり安の展開となった。その後、パウエルFRB議長の発言が伝わると、米長期金利の低下とともにドル売りが活発化し、一時130.48円と日通し安値を更新した。

・ロンドン株式相場は反発。英BPが発表した決算と増配・自社株買いが好感されて同社株に買いが集まり、指数の上昇をけん引した。ただ、パウエルFRB議長の発言を警戒し、引けにかけては伸び悩んだ。

・フランクフルト株式相場は小幅ながら3日続落。12月独鉱工業生産が予想を下回ったことで売りが先行。パウエルFRB議長のタカ派寄りの発言が警戒されたことも相場の重し。個別ではエアバス(2.84%安)やシーメンス・エナジー(2.28%安)、ボノビア(1.83%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。ナーゲル独連銀総裁の発言を受けて、ECBの利上げ継続が改めて意識されると独国債に売りが出た。

(中村)
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