株式明日の戦略-3日続落も後場は下げ幅を縮小、27500円近辺での一進一退が続く

 9日の日経平均は小幅に3日続落。終値は22円安の27584円。米国株安を受けて、150円近く下げて始まった。寄り付きから節目の27500円を下回ったが、安く始まった後の下値は限られ、27400円は割り込むことなく反転した。前場では、値を戻しても27500円を上回ってくると売り直された。しかし、後場に入ると改めて戻りを試しに行った。場中に決算を発表したトヨタ<7203.T>が発表後にプラス転換したことも、指数への押し目買いを後押しし、取引終盤にかけてはプラス圏に浮上する場面もあった。引け間際の動きが弱く、小幅な下落で終了。TOPIXはプラスで終えた。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆5700億円。業種別では繊維、ガラス・土石、非鉄金属などが上昇した一方、電気・ガス、ゴム製品、陸運などが下落している。3Qの営業増益が好感されたNTTデータ<9613.T>が後場急伸。反面、通期の営業利益見通しを引き下げた明治ホールディングス<2269.T>が後場に入って大きく値を崩した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり980/値下がり761。前日に急落した任天堂とソフトバンクGが上昇。素材系の銘柄が決算で買われており、AGC、住友鉱山、大平洋金属などが大幅高となった。ステンレス・チタン商社のUEXは、通期見通しの引き上げが好感されて23.3%高。ほか、セガサミー、芝浦メカ、DMG森精機なども決算を材料に急伸した。今期の大幅増益計画を提示したイーエムネットジャパンは、買いが殺到してストップ高比例配分となった。

 一方、東京エレクトロンが決算発表を前に2%を超える下落。前日決算を材料に急伸したメルカリが9.6%安と一転急落した。3Qが最終減益となった富士フイルムが軟調。業績修正を発表したJTOWER、武蔵精密、日本金銭機械などが大幅安となった。ほか、前期の決算発表を延期すると発表したツバキナカシマが13.1%安となった。

 日経平均は3日続落。ただ、場中の動きはしっかりしており、終値(27584円)では27500円を上回った。トヨタの決算発表直後の反応は買いであったが、引けでは0.2%高と横ばい程度で、そこまで強い動きではなかった。それでも、後場の全体のセンチメントを良くするのには一役買った。結局今週は、もみ合いを上放れそうな場面と下放れしそうな場面の両方があったが、27500円から大きく動いていない。週間でプラスかマイナスかはあす次第だが、どちらになったとしても、もうしばらくは強気派と弱気派がせめぎ合う状況が続きそうだ。来週、米国で14日(火)に1月消費者物価指数、15日(水)に1月小売売上高が出てくることから、均衡が崩れるとすればこの辺りか。国内でも決算発表がほぼ一巡する時期で、物色にも変化が出てきやすい。

 あすは寄り前に1月の企業物価指数が発表される。また、日銀人事に関して何らかのニュースが出てくるかもしれない。今週6日には、政府が雨宮副総裁に次期総裁就任を打診したとの観測が流れたことを材料に、日経平均は上昇した。物価指標が著しく強かった場合や、総裁候補に雨宮氏以外の名前が出てきた場合には、国内金利、為替、金融株などに大きな動きが出てくる可能性はあり、注意したい。
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