欧州マーケットダイジェスト・9日 株高・金利低下・スウェーデンクローナ急伸

(9日終値:10日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=131.15円(9日15時時点比▲0.21円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=140.97円(▲0.05円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0748ドル(△0.0013ドル)
FTSE100種総合株価指数:7911.15(前営業日比△25.98)
ドイツ株式指数(DAX):15523.42(△111.37)
10年物英国債利回り:3.291%(▲0.022%)
10年物独国債利回り:2.303%(▲0.060%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
1月独消費者物価指数(CPI)速報値
前月比                1.0%      ▲0.8%
前年比                8.7%       8.6%
スウェーデン中銀、政策金利    3.00%に引き上げ   2.50%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。米長期金利の低下などをながめ円買い・ドル売りが先行。前週分の米新規失業保険申請件数が19.6万件と予想の19.0万件より弱い内容だったことが分かると全般ドル売りが活発化した。前日の安値130.60円を下抜けて一時130.35円まで値を下げた。
 ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。低調な米30年債入札を受けて米長期金利が上昇すると、ドル円にも買いが入った。3時過ぎには131.34円付近まで値を上げた。

・ポンドドルは底堅い。議会証言に臨んだ複数の英中銀金融政策委員会(MPC)メンバーが「インフレ見通しについては上振れリスクがある」「インフレが持続するなら、力強い行動を果たす役割がまだある」との見解を示したと伝わると、ポンド買いが優勢となった。前日の高値1.2110ドルを上抜けて一時1.2194ドルまで上値を伸ばした。

・ユーロドルは強含み。米長期金利の低下や低調な米経済指標を受けてドル売りが優勢になると一時1.0791ドルと本日高値を更新した。市場では「アジアや欧州の株式相場が堅調に推移したことで、リスク・オンのドル売りが出た」との指摘もあった。
 ただ、買い一巡後は伸び悩んだ。米長期金利が上昇に転じたことでユーロドルにも売りが出て一時1.0739ドル付近まで上げ幅を縮めた。

・ユーロ円はもみ合い。ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。日銀総裁人事の関連報道後に付けたレンジ(140.48-141.33円)内での取引に終始した。

・スウェーデンクローナは急伸。スウェーデン中銀(リクスバンク)はこの日、政策金利を現行の2.50%から3.00%へ引き上げることを決めたと発表。市場予想通りの結果となった。ただ、声明で「現状では強いクローナが望ましい」「政策金利は春にさらに引き上げられるだろう」との見解を示し、物価高と通貨クローナ安という逆風に対し、今後数カ月の間に追加利上げを実施すると予想した。市場では「今回で利上げは打ち止め」との見方が多かっただけに、結果公表後はクローナ買いが優勢となった。対ユーロでは一時11.0862クローナ、対ドルでは10.2949クローナ、対円では12.72円付近まで値を上げた。

・ロンドン株式相場は3日続伸し、史上最高値を更新した。「アラブ首長国連邦(UAE)のファースト・アブダビ・バンクはスタンダードチャータードを買収する可能性を探っている」との一部報道を手掛かりに、スタンダードチャータード株が11%超の急伸。指数の上昇に寄与した。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株の一角にも買いが入った。半面、グレンコアやモンディなど素材株は売られた。

・フランクフルト株式相場は続伸。1月独消費者物価指数(CPI)速報値が前年比で予想を下回ると、インフレのピークアウトが意識されて投資家の買い安心感につながった。個別ではシーメンス(6.68%高)やドイツ証券取引所(1.83%高)、アディダス(1.47%高)などの上昇が目立った。

・欧州債券相場は上昇。1月独CPI速報値が予想を下回ると、欧州中央銀行(ECB)の大幅な利上げ観測が後退し、独国債に買いが入った。

(中村)
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