欧州マーケットダイジェスト・10日 株安・金利上昇・円失速

(10日終値:11日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=131.49円(10日15時時点比▲0.07円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=140.28円(▲0.83円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0668ドル(▲0.0058ドル)
FTSE100種総合株価指数:7882.45(前営業日比▲28.70)
ドイツ株式指数(DAX):15307.98(▲215.44)
10年物英国債利回り:3.396%(△0.105%)
10年物独国債利回り:2.364%(△0.061%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
12月英国内総生産(GDP、前月比)   ▲0.5%      0.1%
10-12月期英国内総生産(GDP)速報値
前期比                0.0%     ▲0.2%・改
前年同期比              0.4%       1.9%
12月英鉱工業生産指数(前月比)    0.3%     0.1%・改
   製造業生産高(前月比)     0.0%     ▲0.6%・改
12月英商品貿易収支     192.71億ポンドの赤字 146.55億ポンドの赤字・改
12月英貿易収支       71.50億ポンドの赤字  23.06億ポンドの赤字・改

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ドル円は下値が堅かった。日経新聞が「政府は日銀新総裁に植田和男氏、副総裁に内田真一理事と氷見野良三前金融庁長官を起用する人事を固めた」と報じると、現在の大規模緩和策が見直されるとの思惑が浮上し、円買い・ドル売りで反応。17時過ぎには一時129.81円まで急落した。
 ただ、植田氏が「現在の日銀の金融政策は適切、緩和継続が必要」との見解を示したと伝わると買い戻しが優勢に。18時30分前には131.41円付近まで持ち直した。
 NY市場に入ると130.58円付近まで再び弱含む場面もあったが、下押しは限定的だった。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利上げを停止するとの観測が後退する中、米10年債利回りが一時3.7359%前後と1月6日以来の高水準を記録したことで円売り・ドル買いがじわりと強まった。米ミシガン大学が発表した2月消費者態度指数(速報値)が66.4と予想の65.0を上回り、併せて発表された1年先の期待インフレ率が4.2%と予想の4.0%を上回ったことも相場の支援材料となった。2時前には131.58円付近まで値を上げた。

・ユーロドルは頭が重かった。ドル円の急落をきっかけに対ユーロでもドル売りが先行すると、17時過ぎに一時1.0753ドルと日通し高値を更新した。ただ、買い一巡後はじりじりと上値を切り下げる展開に。FRBが早期に利上げを停止するとの観測が後退する中、投資家のリスク回避姿勢が強まるとユーロ売り・ドル買いが出た。米長期金利が約1カ月ぶりの高水準を付けたこともドル買いを促し、2時過ぎに1.0666ドルと日通し安値を更新した。
 なお、シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事は「さらなる利上げはインフレを目標に戻すのに寄与する」「インフレ率を2%の目標にタイムリーに戻すために、利上げ方針を維持」などと述べたが、為替相場の反応は限られた。

・ユーロ円は売り先行後、もみ合い。日銀の次期総裁を巡る報道を受けて一時139.56円まで売り込まれたものの、植田氏の「日銀の金融緩和継続は必要」との発言で140.89円付近まで買い戻された。そのあとは140.00円を挟んだもみ合いに終始した。

・ロンドン株式相場は4日ぶりに反落。FRBが早期に利上げを停止するとの観測が後退し、投資家のリスク回避姿勢が強まった。前日に史上最高値を更新したあとだけに、利益確定目的の売りも出た。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株の下落が目立ったほか、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株が売られた。

・フランクフルト株式相場は3日ぶりに反落。前日の米株式相場が下落し、投資家心理が悪化すると独株にも売りが出た。週末を控えたポジション調整目的の売りも出た。個別ではアディダス(10.88%安)やザランド(7.07%安)、コンチネンタル(3.27%安)などの下げが目立った。

・欧州債券相場は下落。シュナーベルECB専務理事の発言を受けてECBが大幅な利上げを継続するとの観測が高まると、独国債に売りが出た。

(中村)
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