東京為替見通し=ドル円、米1月CPIのポジティブサプライズ警戒で底堅い展開か

 13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時3.7531%前後まで上昇したことで、132.91円まで上昇した。もっとも、ニューヨーク連銀の最新調査で3年後のインフレ期待が2年3カ月ぶりの低水準となったことが重しになり、引けにかけては132.26円付近まで伸び悩んだ。ユーロドルは、欧州委員会がユーロ圏の2023年の実質成長率を0.9%へ上方修正したことで1.0730ドルまで、ユーロ円も142.39円まで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、次期日銀総裁の下で金融緩和修正が慎重に進むとの観測や今夜発表される米1月消費者物価指数(CPI)のポジティブサプライズへの警戒感から底堅い展開が予想される。

 今夜発表される米1月CPIは前月比+0.5%、前年比+6.2%と予想されているものの、ポジティブサプライズの可能性が警戒されている。すなわち、1月の米雇用統計がベンチマークの変更や季節要因などからポジティブサプライズだったように、CPIも前年比+6.5%以上となりインフレ鈍化傾向を打ち消す可能性が警戒されている。しかしながら、一方でインフレ鈍化傾向が続くとの予想もあることで、発表までは予断を許さない状況が続くことになる。

 8時50分に発表される日本の2022年10-12月期実質国内総生産(GDP)は前期比年率+2.0%と予想されており、前期の同-0.8%からの回復が見込まれている。しかしながら、昨年の下半期の成長率は+1%を下回ることで、依然として景気の停滞感は払拭されない状況が続くことになり、日銀の量的金融緩和政策の継続が正当化されることになる。

 政府は、本日、黒田日銀総裁の後任に経済学者で元日銀審議委員の植田氏、副総裁として氷見野前金融庁長官、内田日銀理事を衆院議院運営委員会の理事会に提示する。そして、24日に衆議院、27日に参議院で正副総裁候補に対する所信聴取と質疑が行われた後、両院の本会議で同意されれば内閣が正式に任命する。岸田政権による総裁と副総裁候補の指名からは、金融緩和政策の継続性と市場の安定確保を図りつつ、異次元の緩和策からの修正を慎重に進めたい意向が示唆されていることで、円安要因となっている。

 可能性は限りなく低いものの、2008年の参議院での不同意の再現を念頭に置いておきたい。当時は、武藤日本銀行副総裁の総裁候補の提示に対して、参議院での、民主、共産、社民、国民新などの反対多数により不同意となり、総裁代行に任命されていた白川日銀副総裁が第30代日銀総裁に就任した。立憲民主党の安住国対委員長は、「アベノミクスの副作用が出始め、いわば『宴の後片付け』を誰がどうやるのかが問われている。国会審議で様々な観点から適格性についてただしていきたい」と述べている。

 なお、サマーズ元米財務長官は、植田氏に関して、「日本のベン・バーナンキのような人だと考えられるだろう」と評した。FRB副議長やイスラエル中銀総裁を務めた著名経済学者スタンレー・フィッシャー氏のマサチューセッツ工科大学(MIT)の教え子には、サマーズ元米財務長官、バーナンキ第14代FRB議長、ドラギ第3代ECB総裁、ロウRBA総裁、そして植田第32代日銀総裁候補がおり、4人目の中銀総裁が誕生することになる。

 バーナンキ第14代FRB議長は、2008年1月に「米国のリセッション(景気後退)入りの可能性は低い」と述べていたが、米国は2007年12月からリセッションに陥っていた。そして、2008年9月のリーマンショックを「住宅市場に限られた問題」として無視した人物であり、サマーズ氏は皮肉を込めて犬猿の仲であるバーナンキ氏に例えた可能性に警戒しておきたい。


(山下)
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