株式明日の戦略-上昇スタートから急失速、国内グロース株が買いづらい

 15日の日経平均は反落。終値は100円安の27501円。米国株は市場予想を上回る1月CPIを受けて3指数がまちまちで終えたが、ナスダックの上昇やドル高・円安の進行を手がかりに買いが先行。開始直後には上げ幅を3桁に広げた。しかし、すぐに天井をつけて失速。ナスダック高を受けても主力グロース株の動きがさえず、追随買いが入らなかった。前場中ごろからは失速感が強まり、マイナス転換から下げ幅を3桁に拡大。節目の27500円を割り込んだ。一方、後場は売り圧力が和らいだことで小動きが続き、終値では27500円を上回った。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆7300億円。業種別では保険、鉄鋼、銀行などが上昇している一方、サービス、精密機器、不動産などが下落している。直近の四半期で大きく利益を積み増したチェンジ<3962.T>が急騰。反面、3Q累計では最終赤字となり、併せて通期の見通し取り下げなども発表したミンカブ・ジ・インフォノイド<4436.T>が一時ストップ安となるなど急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり624/値下がり1127。楽天Gが7.7%高と急騰。前期に巨額の最終赤字を計上して売り気配スタートとなったものの、早々に切り返すと一転して強い買いが入った。決算が好感されたJTや東京海上が大幅上昇。日本ペイントが今期の大幅増益計画を材料に急伸した。前日にストップ高比例配分となったシチズン時計が9.2%高。決算を発表したゆうちょ銀行、日本郵政、かんぽ生命が、そろって強い動きを見せた。

 一方、前日決算で売られたリクルートが4.1%安。レーザーテックやソフトバンクGなど主力グロース株がナスダック高に連動できずに下落した。為替が円安に振れる中でもトヨタが下落。資生堂、ファンケル、コーセーなど化粧品株や、三井不動産、住友不動産など不動産株の弱さが目立った。今期が減収減益計画となったシマノが6.5%安。ソースネクストが下方修正を発表して急落し、寿屋は上方修正と増配を発表したにも関わらず、ストップ安まで売り込まれた。

 日経平均は反落。高く始まって値を消すさえない1日となった。CPIを消化した米国株はまちまちで終えており、日経平均が下げたこと自体に強い驚きはない。ただ、グロース株は買いづらくなってきた感がある。ナスダックが上昇したことはサプライズに近い動きであったが、日本のグロース株はこれに踊ることはなく、冷静に米国の長期金利上昇を嫌気して売られた。新興グロース株には派手に下げたものも多い。本日、米国では1月の小売売上高など指標の発表が多く、米国の長期金利が指標に対してどういった反応を示すかが注目される。米10年債利回りは足元3.7%台で推移しているが、この先、4%に接近するようだと、米国でもグロース株が強く売られる可能性がある。
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