週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、予算案に要注目

◆豪ドル、利上げ継続見通しが支えも、RBA総裁への辞任圧力に警戒
◆豪ドル、10-12月期賃金指数や民間設備投資に注目
◆ZAR、政治不安の中での予算案に注目

予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.10-7.60円

2月20日週の展望
 豪ドルは、神経質な動きが続きそうだ。15日に豪上院での議会証言に立ったロウ豪準備銀行(RBA)総裁に対し、インフレ高進や金利上昇について、総裁の責めにあるような質疑が繰り返された。しかし、ロウ総裁は「批判は中銀の政策決定に影響を与えない」「不人気な金利上昇でも気に留めない」と述べ、いまだに豪州のインフレがピークに達していないことも主張した。現在、9回連続で利上げしているが、更に今後数回の再利上げも示唆したことが豪ドルの支えになる。

 ただ、16日発表された1月雇用統計が市場予想より大幅に悪化したことが上値を抑える要因となっている。失業率は3.7%(予想3.5%)、新規雇用者数は1.15万人減(予想2.00万人増)と悪化したほか、常勤雇用者数や労働参加率も減少するなど、その内容も期待を裏切る結果だった。RBAは前回の理事会で失業率は2023年末までに3.75%、2025年半ばまでに4.5%に上昇すると予想しており、今回の数字も想定の範囲内ではあるが、ロウ総裁に対する政治的圧力が増す可能性がある。ロウ総裁は今年9月に任期が切れる予定で、「7年の任期を全うする」と主張しているが、辞任圧力がさらに増した場合のリスクには警戒したい。

 来週は、21日に2月に行われたRBA理事会議事要旨の公表、22日に1月のウェストパック景気先行指数、10-12月期賃金指数、23日に10-12月期民間設備投資などが発表予定。賃金指数やGDPの構成要素の一つの民間設備投資の結果次第では、市場が動意づく可能性があるだろう。また、隣国NZからは22日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が予定されている。市場では4.25%の政策金利から4.75%への引き上げ予想が優勢。注目度は高い。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は引き続き上値が重くなりそうだ。与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率が凋落しており、ANCは最近、地方自治体レベルで野党との連合を求める傾向が強まっている。継続される電力制限と政治的な不安定さが、投資家心理に悪影響を及ぼしている。電力・政治ともに解決の特効薬はなく、引き続きZARの重しとなるだろう。また、来週は23日に1月卸売物価指数(PPI)が発表されるが、注目は22日発表予定の南ア予算案。これまでは、予算案前は期待感からZAR買いになることが多かったが、今回は、先々週のラマポーザ大統領の一般教書演説と同様に、期待する声が全く聞こえてきていない。

2月13日週の回顧
 豪ドルは対円では上昇した。RBAが引き続き利上げを繰り返すと想定されていることが支えとなった。対ドルでは、豪金利先高観が支えとはなったが、米金利上昇と弱い豪州の雇用統計の結果が上値を抑えた。

 ZARは米金利の上昇や、電力制限、政治不安が嫌気され、対ドルでは昨年11月以来となる18ZAR台まで弱含んだ。対円では7.3円台を中心にほぼ横ばいで推移した。なお、1月の南ア消費者物価指数(CPI)は市場予想に沿った結果だったが、食品インフレは2009年以来の水準まで上昇した。(了)
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