週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、更なる利上げ期待で堅調か

◆豪ドル、堅調か、更なる利上げを示唆し豪金利が高止まり
◆豪ドル、豪雇用統計に注目
◆ZAR、電力不足と政権の求心力低下が重しに

予想レンジ
豪ドル円 90.00-95.00円
南ア・ランド円 7.10-7.60円

2月13日週の展望
 豪ドルは、豪準備銀行(RBA)理事会後に豪金利が高止まりしていることもあり、底堅い動きを見せる可能性が高そうだ。今週7日に行われたRBA理事会では、市場予想通り0.25%利上げし、政策金利を3.35%まで引き上げた。これで9回連続での利上げとなった。声明文では「インフレ率が目標に戻ることを確実にするために、今後数カ月にわたって金利のさらなる上昇が必要になると予想」と発表した。また、今年のインフレ率の予測は、昨年11月に発表されたのと同じ4.75%への低下と変更なかったが、「CPIが約3%まで低下するのは2025年半ばまでかかる」と声明文に付け加え、インフレがRBAの目標とする2-3%へ低下するまで、今後の長い道のりを示した。今回の声明文は全体を通すとタカ派と捉えられており、豪ドルの支えとなりそうだ。

 来週は、14日に2月ウェストパック消費者信頼感、同日に1月NAB企業景況感と信頼感が発表されるが、市場の最大の注目は16日に発表される1月の雇用統計になる。翌17日にはロウRBA総裁が議会証言を行うが、雇用統計の結果を受けた金融政策についての見解を述べる可能性もあり注目が集まる。なお、RBA声明文では、全国の失業率は1月の3.5%から2023年末までに3.75%、2025年半ばまでに4.5%に上昇すると予想している。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は引き続き上値の重い展開か。ZARの重しになっているのが、電力の負荷制限と、ラマポーザ政権に対する求心力が急速に低下していることがあげられる。電力の負荷制限は、昨年は205日の最長期間を記録したが、今年に入っても改善は全くみられず、これまで毎日電力制限が行われている。経済的なダメージだけではなく、政権内からは「国民の不満が爆発し、暴動がおこる可能性」も指摘されている。電力制限の水準には注意しておきたい。

 経済指標では、15日に1月の消費者物価指数(CPI)と12月の小売売上高が発表される。南アフリカ準備銀行(SARB)はCPIが高止まりしていることで、先月政策金利を引き上げたが、景気が低迷している現状では利上げは避けたい方針。CPIが市場予想を上回った場合は、金利高によるZAR買いよりも、スタグフレーション懸念によるZAR売りに市場は反応しそうだ。

2月6日週の回顧
 豪ドルはレンジ内で神経質に上下した。RBAの声明文がタカ派寄りだったこともあり、豪ドル/ドルは0.68ドル半ばから0.70ドル近辺まで、豪ドル円も90円半ばから92円手前まで上昇した。ただ、市場では先週好結果だった米雇用統計後の米連邦準備理事会(FRB)要人の講演などに注目が集まったこともあり、豪ドルだけを一方的に買い上げるには材料不足。レンジ内での取引に終始した。ZARは対ドル・対円ともに軟調な動き。電力の負荷制限や、ラマポーザ政権への失望感などがZARの上値を圧迫した。ZAR円は7.37円、ドルZARは17.82ZAR台までZAR安が進み、それぞれ年初来安値を更新した。(了)

※執筆:2月10日、9:30
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