欧州マーケットダイジェスト・13日 株急落・金利大幅低下・円高

(13日終値:14日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=133.17円(13日15時時点比▲1.20円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=143.01円(▲1.03円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0738ドル(△0.0018ドル)
FTSE100種総合株価指数:7548.63(前営業日比▲199.72)
ドイツ株式指数(DAX):14959.47(▲468.50)
10年物英国債利回り:3.370%(▲0.270%)
10年物独国債利回り:2.259%(▲0.249%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)
特になし

(各市場の動き)
・ドル円は下落。米中堅銀行シリコンバレーバンクに続き、地方銀行シグネチャー・バンクの経営破綻で金融システムリスクへの警戒が広がり、欧州株相場が大幅に下落。投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが膨らんだ。米銀2行の経営破綻を受けて、米連邦準備理事会(FRB)が21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が浮上したこともドル売りを誘った。22時前に一時132.29円と約1カ月ぶりの安値を更新した。
 ただ、NY市場に入ると下げ渋った。一時は280ドル超下落したダウ平均が持ち直し、330ドル超上昇すると投資家の過度なリスク回避姿勢が後退し買い戻しが進んだ。1時30分前には133.41円付近まで下げ幅を縮めた。もっとも、一目均衡表雲の上限133.56円がレジスタンスとして意識されたことから、戻りも限定的だった。
 なお、バイデン米大統領は演説を行い、「銀行システムも預金も安全なことは確実。私たちは必要なことは何でもしていく」と述べ、平静を呼びかけた。また、銀行システムの規制強化を議会に求めていく考えを示した。

・ユーロドルは底堅い動き。欧州株の急落を背景にリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが先行。欧州債利回りが急低下したこともユーロ売り・ドル買いを促し、21時30分前には1.0651ドル付近まで下押しした。金融システム不安から欧州の銀行株が急落するなど、金融市場が不安定さを増していることから、市場では「欧州中央銀行(ECB)が16日の定例理事会では、0.25%の利上げにとどめる」との観測が浮上している。
 ただ、週明け早朝取引で付けた日通し安値1.0640ドルがサポートとして働くと買い戻しが優勢に。米銀2行の経営破綻を受けてFRBが利上げ継続に慎重になるとの見方が強まると、金融政策を反映しやすい米2年債の利回りが一時60bp近く急低下。欧米金利差が縮小し、ユーロ買い・ドル売りが入った。2時過ぎには一時1.0749ドルと約1カ月ぶりの高値を付けた。

・ユーロ円は一転下落。17時過ぎに一時144.39円と日通し高値を付けたものの、欧州株の急落を背景にリスク回避の円買い・ユーロ売りが広がると141.37円まで値を下げた。ただ、安く始まった米国株が持ち直すと買い戻しが優勢となり、143.15円付近まで下げ渋った。
 なお、欧州を代表する株価指数のひとつユーロ・ストックス50指数は3%超下落した。

・ロンドン株式相場は大幅に3日続落。米銀2行の経営破綻を受けて金融システムリスクへの警戒が広がると、投資家がリスク回避姿勢を強めた。HSBCやバークレイズなど金融株の下げが目立ったほか、BPやシェルなどエネルギー株に売りが集まった。リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株も軟調だった。

・フランクフルト株式相場は大幅に続落。米銀2行の経営破綻を受けて、金融システムへの不安が高まっており、投資家が運用リスクを減らすために売りを出した。個別ではコメルツ銀行(12.71%安)やコベストロ(5.15%安)、ドイツ銀行(4.87%安)などの下げが目立った。なお、フランスの株価指数は2.90%安、スペインは3.51%安、イタリアは4.03%安となった。

・欧州債券相場は大幅に上昇。米銀2行の経営破綻を受けて、金融システムへの不安が高まる中、相対的に安全資産とされる独国債に買いが入った。

(中村)
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