東京為替見通し=ドル円、米利上げ期待やや高まるも上値重いか

 昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反発。米株・米長期金利が上昇し、リスクオフの巻き戻しによる円売り・ドル買いが入り、ドル円は134.90円まで上昇した。2月米消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.0%上昇と市場予想通り8カ月連続で鈍化した。ユーロドルは小幅ながら4日続伸。日本時間夕刻に一時1.0679ドルまで下押したが、リスクオフの巻き戻しによるユーロ買い・ドル売りも支えに1.0750ドルまで上昇した。投資家のリスク志向が改善し、ユーロ円は144.41円まで反発した。

 昨日の米2月CPIの結果を受けて市場では米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利上げに踏み切るとの思惑がやや強まった。先週、パウエルFRB議長の議会証言を受けて、市場は来週のFOMCで0.50%の利上げを決定するとの見方を織り込んでいたが、米中堅銀行シリコンバレーバンク(SVB)と地方銀行シグネチャー・バンクの経営破綻を受けて米金融システム不安が高まり、市場の利上げ見通しは急転した。0.50%利上げ思惑は消滅し、利上げをいったん停止するとの見方が台頭した。ただ、昨日は米銀行破綻に絡んだリスクオフの動きが一段落し、米株に買い戻しが入り、米長期金利も上昇した。それに米2月CPIが前年比で伸びは前月から減速するも2021年9月以来の穏やかな伸びになったことを受けて、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では0.25%利上げを織り込む動きが強まった。

 米銀行破綻を背景とした市場の動揺はいったん落ち着き、FRBの利上げ停止思惑が後退し、ドル円の下押し警戒感は緩んだが、市場の信用不安への警戒感は払しょくされておらず、ドル円の上値は重く、引き続き値幅を伴った動きに警戒が必要。米インフレ指標や雇用関連統計は依然としてFRBによる積極的な金融引き締め継続を後押ししているが、銀行破綻を背景とした金融市場の混乱はFRBに来週のFOMCで難しい判断を迫っている。本日も米2月卸売物価指数(PPI)や同小売売上高などの注目指標発表が予定されており、利上げ観測を後押しする内容となれば、米長期金利の上昇に伴いドル円は上値を試す動きも期待できるが、信用不安関連のヘッドラインには引き続き注意が必要となる。

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