欧州マーケットダイジェスト・16日 株高・金利上昇・円失速

(16日終値:17日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=133.67円(16日15時時点比△0.95円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=141.58円(△0.80円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0592ドル(▲0.0015ドル)
FTSE100種総合株価指数:7410.03(前営業日比△65.58)
ドイツ株式指数(DAX):14967.10(△231.84)
10年物英国債利回り:3.425%(△0.104%)
10年物独国債利回り:2.290%(△0.160%)

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

(主な欧州経済指標)        <発表値>    <前回発表値>
欧州中央銀行(ECB)、政策金利   3.50%に引き上げ   3.00%

※改は改定値を表す。▲はマイナス。

(各市場の動き)
・ユーロドルは一進一退。経営不振が続くスイスの金融大手クレディ・スイスがスイス中銀(SNB)から最大500億スイスフランを借り入れると発表すると、欧州の金融システム不安を巡る警戒感がやや後退し、欧州株相場の上昇とともにユーロ買い・ドル売りが先行した。17時過ぎには一時1.0635ドルと日通し高値を更新した。
 欧州中央銀行(ECB)はこの日の定例理事会で、政策金利を0.50%引き上げることを決めたと発表。声明では「現在の市場の緊張を注意深く監視している」としながらも、インフレ抑制を優先する姿勢を崩さなかった。金融システムが不安定化するとの警戒感から、株価が失速した場面ではリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが出て一時1.0551ドルと日通し安値を付けた。
 ただ、NY市場では下落して始まった米国株が上昇に転じたことから、再びユーロ買い・ドル売りが強まり1.06ドル台前半まで持ち直した。もっとも、NY午後に入ると1.05ドル台後半まで下押しするなど、終日方向感に乏しい展開だった。

・ドル円は底堅い動き。ECBが欧米の金融機関の経営不安が高まる中でも0.50%の利上げに踏み切ると、金融システムが不安定化するとの警戒から米長期金利が低下。日米金利差が縮小し、円買い・ドル売りが活発化した。22時30分過ぎには一時131.72円と約1カ月ぶりの安値を更新した。米10年債利回りは3.3635%前後と2月3日以来の低水準を記録した。
 ただ、「JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレーなど大手銀行は経営危機に陥っている米地銀ファースト・リパブリック・バンクへの支援策を検討。資本注入が含まれる可能性もある」「複数の銀行がファースト・リパブリックに約300億ドルを支援する」との報道が相次いで伝わると、一時は300ドル超下落したダウ平均が390ドル超上昇。投資家のリスク回避姿勢が後退し一転円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回りが3.58%台まで上昇したことも相場の支援材料となり、一時133.83円と日通し高値を更新した。

・ユーロ円も底堅い動き。ドル円の下落につれた売りが出て一時139.13円と1月20日以来約2カ月ぶりの安値を付けたものの、ファースト・リパブリック支援に絡んだ報道が伝わると、株価の持ち直しとともに買い戻しが優勢となった。3時前に一時141.92円と日通し高値を更新した。

・ロンドン株式相場は反発。経営不振が続くスイスの金融大手クレディ・スイスはSNBから最大500億スイスフランを借り入れると発表。金融システム不安を巡る警戒感がやや後退し、HSBCやバークレイズなど金融株中心に買い戻しが入った。半面、セグロやランド・セキュリティーズ・グループなど不動産株は売られた。

・フランクフルト株式相場は反発。経営不安に陥っているクレディ・スイスが資金調達策を発表したことで、金融システム不安が和らぎ買いが先行。ECBが欧米の金融機関の経営不安が高まる中でも0.50%の利上げに踏み切ると、金融システムが不安定化するとの警戒から売りが強まる場面もあったが、引けにかけては再び強含んだ。経営危機に陥っている米地銀の支援期待から米国株相場が持ち直したことなどが相場を下支えした。

・欧州債券相場は下落。金融システム不安が強まっていたことから、ECBの利上げ幅が0.25%にとどまるの見方もあっただけに、0.50%の利上げ決定を受けて独国債が売られた。

(中村)
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