株式明日の戦略-4月第1週は大幅安、来週は方向感が出づらいか

 7日の日経平均は3日ぶり反発。終値は45円高の27518円。米国株高を受けて上昇して始まり、開始直後には上げ幅を3桁に拡大。しかし、27600円に接近したところで押し戻され、そこからは先は上値が重くなった。場中は27500円台でもみ合う時間が長かった。幾度か節目を割り込み、後場には下げに転じる場面もあったが、27500円より下では買いが入った。海外の多くが休場で閑散ムードの強い地合いが続いたが、終値ではプラスを確保し、27500円も上回った。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆円。業種別では海運、銀行、精密機器などが上昇している一方、電気・ガス、小売、鉱業などが下落している。新たな取り組みに関するリリースがあった住信SBIネット銀行<7163.T>が急伸。半面、3月度の月次が失望材料となったキューブ<7112.T>が急落した。

 東証1部の騰落銘柄数は値上がり1146/値下がり595。東京エレクトロン、OLC、HOYAなどが強い上昇。9日の日銀新総裁就任が意識されたか、三菱UFJ、みずほFGなどメガバンクや東京きらぼし、九州FGなど地銀株に資金が向かった。値幅が出ている銘柄に短期資金が殺到しており、アースインフィニティや直近上場のArentが商いを伴ってストップ高。3Q決算が好感されたウェザーニューズが大幅高となった。

 一方、今期の見通しが市場の期待にとどかなかったセブン&アイが4%安。トヨタは場中に新体制方針の説明会を開催したが、終盤に下げに転じて安値引けとなった。ソフトバンクGや任天堂が軟調。証券会社が投資判断を引き下げたダイセキが大幅安となった。東電HDや第一三共など、直近の株安局面で買われたディフェンシブ株が反動売りに押された。

 日経平均は3日ぶり反発。ただ、水曜・木曜と大きく下げたことは忘れたかのような、小幅な上昇にとどまった。上下に振れて結局小幅高といった動きではなく、スタートから買いが盛り上がらず、場中はほぼフラット。海外投資家の参戦が期待できない日には下手に動けないといった雰囲気が強かった。

 来週は週明けから安川電機<6506.T>の決算を消化するが、2月決算銘柄の新しい期の見通しが多く出てくることから、その中身や株価の反応が注目される。2022年は経済活動が正常化に向かったことから、多くの企業の着地は悪くないものが確認できるだろう。一方、新しい期となると、直近では海外で金融不安が高まったり、米国の経済指標の多くに減速感が出てくるなど、色々と先を見通しづらい要素が多い。その中で企業がどういった見通しを出してくるか。ある程度保守的になることは、市場も想定していると思われる。安心感のある見通しが多く出てくれば、3月決算銘柄に先回りの買いが入る展開も期待できる。一方、厳しい見通しが続出した場合には、2月決算銘柄はもちろんのこと、3月決算銘柄も売られやすくなる。今週大きく下げた日経平均が来週持ち直すことができるかどうかは、2月決算銘柄にかかっている。


【来週の見通し】
 一進一退か。米国の経済指標に引き続き気を揉むことになるだろう。週初に雇用統計の結果を消化して、12日にはCPI、13日にはPPIと、物価指標が立て続けに出てくる。結果を消化するのは翌週になるが、14日には小売売上高、鉱工業生産、ミシガン大学消費者信頼感指数が発表となる。ただ、国内では小売などの決算が多く出てくる。個別重視の様相が強まることで全面高、全面安といった極端な動きが出づらくなり、指数の振れ幅は今週に比べると落ち着くのではないかとみている。大幅高への期待、大幅安への警戒、その両方が後退することになりそうで、方向感が出づらいと予想する。


【今週を振り返る】
 軟調となった。名実ともに4月相場に突入したが、前の週の動きが良かったこともあり、日経平均は月曜、火曜と上昇。28000円台が定着するかと思われた。しかし、水曜5日に474円安、翌6日も340円安と連日で値幅を伴った下げとなり、この2営業日で800円を超える下落となった。米国で市場予想を下回る経済指標が出てきて、これに対する米国株の反応も弱かったことから、警戒ムードが急速に高まった。週後半には27500円を下回る場面もあり、週間では大幅安となった。日経平均は週間では約523円の下落となり、週足では3週ぶりに陰線を形成した。
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