株式明日の戦略-上昇も場中は小動き、売り一巡感は出てくるか

 10日の日経平均は続伸。終値は115円高の27633円。先週末7日の米国株は休場であったが、市場予想並みの結果となった米3月雇用統計が安心材料となり、寄り付きから3桁の上昇。幅広い業種に買いが入った。寄った後は200円超上昇して27700円台に乗せたところで伸び悩んだ一方、上げ幅を2桁に縮めて27600円を割り込んだところでは盛り返した。前場のうちに高値と安値をつけると、11時辺りからは様子見姿勢が強まり、引けまで小動きが続いた。

 東証プライムの売買代金は概算で1兆9100億円。業種別では海運、その他製品、鉱業などが強い上昇。下落はパルプ・紙、倉庫・運輸、ガラス・土石の3業種のみとなった。手掛けづらさもある中で動きのある銘柄に資金が集中しており、前営業日にストップ高まで買われたアースインフィニティ<7692.T>が急騰。売買代金は全市場で2位となった。半面、サイフューズ<4892.T>も商いを集めて高いところでは20%上昇したが、買い一巡後は急失速し、終値では4%を超える下落となった。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1332/値下がり415。「スーパーマリオ」新作映画の海外での出足好調が伝わった任天堂が大幅上昇。日本郵船など海運大手が買いを集めた。先週、リリースがあって強く買われた住信SBIが一段高となって10%近い上昇。世界3位のディスプレイメーカーと戦略提携覚書を締結したと発表したJDIが2割を超える上昇となった。OLCが年初来高値を更新しており、ディズニーリゾートへの路線を有する京成電鉄も年初来高値を更新した。

 一方、米10年債利回りの上昇が嫌気されたかグロース株の動きがさえず、ソフトバンクGが逆行安。アドバンテスト、東京エレクトロンなど半導体株や、TDK、村田製作所など電子部品株が売りに押された。業績関連のリリースがあった大阪有機化学や三光合成が大幅安。下方修正と減配を発表した技研製作所が12.1%安と急落した。

 日経平均は続伸。ただ、3月米雇用統計の結果を米国よりも先に消化するスケジュールでもあったため、場中の動意は限られた。値上がり業種が多かったのは、それだけ先週の日本株が売り込まれていたということだろう。米株先物の上昇を横目で見ながら動いていたことから、本日の米国株がプラスで終えたとしても、あすの日本株への好影響は限られる。言い換えると、あす強い動きが見られるようなら、日経平均は27500円近辺でいったん売りが一巡したとの見方が強まりやすい。もう一段水準を切り上げ、早々に25日線(27728円、10日時点、以下同じ)や5日線(27745円)を上回ることができるかに注目したい。
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