株式明日の戦略-日本固有の材料で大幅高、バリュー株の再評価機運が高まるか

 11日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は289円高の27923円。休場明けの米国株はまちまちとなったが、日銀の植田新総裁が会見で現行の緩和政策を継続する意向を示し、為替が円安に振れたことが強い買い材料となり、寄り付きから大幅高となった。そこから28000円に迫ったところでは、いったん押し戻された。しかし、ウォーレン・バフェット氏が日本に追加投資を検討しているとの日経記事が伝わると、28000円台に乗せて一時上げ幅を400円超に広げた。一方、後場に入ると、28000円より上が重くなって伸び悩んだ。節目近辺でしばらくもみ合った後、終盤にかけては失速。大幅高ではあったものの終値では28000円を下回り、大引けが後場の安値となった。

 東証プライムの売買代金は概算で2兆5200億円。業種別では卸売、精密機器、非鉄金属などが強い上昇。下落は医薬品、空運、水産・農林の3業種のみとなった。上期決算や増配が好感されたUSEN-NEXT HOLDINGS<9418.T>が急伸。半面、公募・売り出しを発表したMacbee Planet<7095.T>がストップ安をつける場面もあるなど急落した。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1385/値下がり365。丸紅、住友商事、伊藤忠など大手商社株が大幅高。日経記事でバフェット氏の保有比率が高まったと報じられており、商社株の場中の一段高が日経平均の28000円乗せに一役買ったようでもあった。東京エレクトロン、太陽誘電、村田製作所など主力ハイテク株の一角に強い動きが見られた。好決算を発表したSHIFTが、全市場の売買代金ランキングトップ10入りする大商いで15.8%高。マイルストーン達成などが寄与して今期は営業黒字を達成できる見込みとなったステムリムがストップ高となった。

 一方、地合いがリスクオンに傾斜したことから、第一三共や武田などディフェンシブ株が軟調。円安が多くの銘柄にはプラスに作用したが、トヨタは反応が鈍く下落で終えた。日銀が早期に金融政策を修正する可能性は低いとの見方が強まったことから、あいちFGや北国FHDなど地銀の多くが下落。海外の持分法適用関連会社の訴訟に関するニュースを受けてウェッジHDがストップ安となった。

 日経平均は大幅高。植田日銀新総裁の会見を好感して買われ、日経新聞によるバフェット氏のインタビュー記事を手がかりに一段高となった。後場は案外であったが、28000円を上回る場面があったことは特筆される。日本固有の材料で上げたことから、しばらくは海外からの弱材料に耐性を示すことで、日本株が底堅くなる可能性が高い。日経平均は28000円突破からの上昇加速に期待したいところだが、まずはきょう超えてきた25日線(27716円、11日時点)より上で値を固められるかが重要になる。物色に関しては、バフェット氏がクローズアップされたことで、指標面で割安感のあるバリュー株が選好されやすくなると予想する。
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