東京為替見通し=ドル円、動きづらい展開か 米3月CPI発表を今夜に控え
11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は133円付近から133.81円まで上昇した。日米金利差のかい離が意識された。ユーロドルは1.0928ドル、ユーロ円は145.96円まで上値を伸ばした。欧州株相場の上昇に伴うリスク・オンのユーロ買いなどが支えとなった。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米3月消費者物価指数(CPI)を控えて動きづらい展開が予想される。
ドル円は、10日には植田日銀総裁の就任記者会見での現状の金融緩和策の維持発言を受けて133.87円まで、11日も133.81円まで上昇したものの134円台には乗せ切れない状態が継続。米10年債利回りは10日が3.43%台、11日が3.45%台までの上昇に留まっており、今夜の米CPIを待つ展開となっている。
米3月CPIは前月比+0.2%/前年比+5.2%と予想されており、2月からは低下が見込まれている。予想通りならば、昨年6月の前年比+9.1%をピークにインフレ鈍化傾向が続くことになる。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、5月2-3日FOMCでの0.25%の追加利上げ確率は68%程度となっている。しかしながら、12月12-13日のFOMCでは4.25-50%へ引き下げられる確率が高くなっており、3月FOMCでのドット・プロットの5.00-25%とは0.75%の乖離となっており、ドル円の134円台を重くしている。
8時50分に発表される3月企業物価指数は、前月比横ばい/前年比+7.1%と予想されており、2月速報値(前月比-0.4%/前年比+8.2%)からは伸び率鈍化が見込まれている。
輸入物価指数をみると、2月は前年比+14.6%と昨年7月の前月比+49.2%をピークに低下基調にある。これは、原油価格の低下や140-150円の円安局面が終了したことによるもの。しかし今年3月以降は、OPECプラス減産による原油価格の反発やドル円が130円台で底堅く推移していることによる輸入物価指数の下げ止まりには警戒しておきたい。
2月下旬には、日銀総裁候補だった植田氏と黒田日銀総裁(当時)は「輸入物価上昇によるコストプッシュが主因であり、23年度半ばにかけて2%を下回る水準まで低下する」と述べていた。
なお、卸売物価指数としての企業物価指数が8-9%台で推移し、消費者物価指数が3-4%台で推移している現状は、「価格転嫁が出来ていない」ことを示唆している。さらに2月コアCPIが前年比+3.1%まで伸び率が鈍化した背景には、政府による電気・ガス料金の抑制効果があり、同政策が影響しない「生鮮食品とエネルギーを除外したコアコアCPI」は、前年比+3.5%と1982年1月以来の高い伸び率を記録していた。コアコアCPIの上昇基調は、コストプッシュに言及する植田日銀総裁にとって難題となるのではないだろうか。
(山下)
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米3月消費者物価指数(CPI)を控えて動きづらい展開が予想される。
ドル円は、10日には植田日銀総裁の就任記者会見での現状の金融緩和策の維持発言を受けて133.87円まで、11日も133.81円まで上昇したものの134円台には乗せ切れない状態が継続。米10年債利回りは10日が3.43%台、11日が3.45%台までの上昇に留まっており、今夜の米CPIを待つ展開となっている。
米3月CPIは前月比+0.2%/前年比+5.2%と予想されており、2月からは低下が見込まれている。予想通りならば、昨年6月の前年比+9.1%をピークにインフレ鈍化傾向が続くことになる。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、5月2-3日FOMCでの0.25%の追加利上げ確率は68%程度となっている。しかしながら、12月12-13日のFOMCでは4.25-50%へ引き下げられる確率が高くなっており、3月FOMCでのドット・プロットの5.00-25%とは0.75%の乖離となっており、ドル円の134円台を重くしている。
8時50分に発表される3月企業物価指数は、前月比横ばい/前年比+7.1%と予想されており、2月速報値(前月比-0.4%/前年比+8.2%)からは伸び率鈍化が見込まれている。
輸入物価指数をみると、2月は前年比+14.6%と昨年7月の前月比+49.2%をピークに低下基調にある。これは、原油価格の低下や140-150円の円安局面が終了したことによるもの。しかし今年3月以降は、OPECプラス減産による原油価格の反発やドル円が130円台で底堅く推移していることによる輸入物価指数の下げ止まりには警戒しておきたい。
2月下旬には、日銀総裁候補だった植田氏と黒田日銀総裁(当時)は「輸入物価上昇によるコストプッシュが主因であり、23年度半ばにかけて2%を下回る水準まで低下する」と述べていた。
なお、卸売物価指数としての企業物価指数が8-9%台で推移し、消費者物価指数が3-4%台で推移している現状は、「価格転嫁が出来ていない」ことを示唆している。さらに2月コアCPIが前年比+3.1%まで伸び率が鈍化した背景には、政府による電気・ガス料金の抑制効果があり、同政策が影響しない「生鮮食品とエネルギーを除外したコアコアCPI」は、前年比+3.5%と1982年1月以来の高い伸び率を記録していた。コアコアCPIの上昇基調は、コストプッシュに言及する植田日銀総裁にとって難題となるのではないだろうか。
(山下)